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プロテオサイエンスセンターの野澤彰准教授らが記者説明会「アサガオの花の寿命を延ばす化合物を発見」を実施しました【10月1日(火)】

足球即时比分_365体育直播¥球探网6年10月1日(火)、足球即时比分_365体育直播¥球探网先端研究院プロテオサイエンスセンター(PROS)の野澤彰准教授らが記者説明会「アサガオの花の寿命を延ばす化合物を発見」を実施しました。

PROSの野澤彰准教授及び国立研究開発法人農業?食品産業技術総合研究機構の渋谷健市博士らの研究グループは、コムギ無細胞系を利用し、植物の転写因子の機能を阻害する化合物のスクリーニングを行う技術を世界で初めて確立し、アサガオの花の寿命を制御する転写因子とDNA との結合を阻害する化合物の単離に成功しました。また、この化合物を切り花にしたアサガオに投与することにより、花の寿命を約2倍に延長する効果が現れることを発見しました。

植物の花の寿命は、遺伝的にプログラムされた機構により制御されており、開花後一定の時間が経過すると、プログラム細胞死に関連する遺伝子の発現が誘導され、タンパク質や核酸などの細胞成分の分解により花はしおれ枯れていきます。園芸分野では、花の寿命は観賞用植物の商品価値を左右する重要な形質であり、花を長持ちさせる技術の開発が望まれています。研究グループでは、これまでの研究において、アサガオの花の寿命を制御する転写因子を特定しており、この転写因子の働きを抑える薬剤を見つけ出すことができれば、それを投与することで花の寿命を伸ばすことが可能になると考えていました。

一方で、転写因子は一般に合成および精製が難しく、薬剤の開発が非常に難しいタンパク質と考えられていましたが、今回、PROS で開発したあらゆるタンパク質を高効率で合成可能なコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系と未精製タンパク質を用いて、タンパク質とDNA の結合を解析できるAlphaScreen システムを用いることで、転写因子EPH1 の合成と、EPH1 とDNA との結合を検出できるアッセイ系の構築に成功しました。そして、このアッセイ系を利用した化合物スクリーニングにより、EPH1 とDNA との結合を阻害する化合物Everlastin1 とEverlastin2 を単離することに成功しました。AlphaScreen システムを利用した解析の結果、EPH1 は二量体化することでDNAと結合すること、またEverlastin1 及びEverlastin2 は、このEPH1 の二量体化を阻害することでEPH1 のDNA への結合能を低下させていることが明らかになり、Everlastin1及びEverlastin2 を溶かした水にアサガオの切り花を浮かべると、DNA やタンパク質の分解が抑制され、花の寿命が約2倍に延長されることが確認されました。

本研究で使用した方法を利用することで、これまで「Undruggable(薬の開発に利用できない)」と考えられていた転写因子を標的とした薬剤開発が活性化されると期待されます。また、本研究で標的としたEPH1 の類縁タンパク質は、ユリなどの主要な切り花の寿命にも関与していると考えられており、今回と同様のアプローチにより、これらの花についても寿命を延長する薬剤の開発が進むことが期待されます。

この研究の成果に関する論文は、足球即时比分_365体育直播¥球探网6年8月29 日(木)付けでNature Plants 誌に掲載されました。また、足球即时比分_365体育直播¥球探网6年10月2日(水)付けの愛媛新聞でも取り上げられました。是非ご覧ください。

開花後24時間経過したアサガオ(右がEverlastin を投与したアサガオ)
記者説明会の様子 野澤准教授(右)と澤崎達也プロテオサイエンスセンター長(左)

論文

参考

■ プレスリリース(足球即时比分_365体育直播¥球探网6年9月24日付)
■ 新聞掲載(足球即时比分_365体育直播¥球探网6年10月2日付愛媛新聞)
足球即时比分_365体育直播¥球探网6年10月2日付愛媛新聞(総合)
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<プロテオサイエンスセンター>