平成31年4月1日(月)、大学院農学研究科生物資源学専攻修士課程農業生産学コース2年の長野眞依さん、同1年の井上博さん、本年3月に修了した三好沙季さんの3名が、「日本植物病理学会学生優秀発表賞」を受賞しました。本賞は、平成31年度日本植物病理学会大会(平成31年3月18日~20日に茨城県つくば市、つくば国際会議場で開催)における口頭発表に対するもので、約120名の学生による発表から選ばれた14名の受賞者中3名を本学の学生が占めました。
長野さんの受賞課題は「新たな2種のDiaporthe sp.によるカンキツ黒点病(病原追加)」です。愛媛県の主要農産物である柑橘類で大きな問題となっている黒点病について、その原因となる病原菌は今までDiaporthe citriだけと考えられてきましたが、農学研究科?分子カンキツ科学研究ユニットの八丈野孝准教授らと愛媛県農林水産研究所果樹研究センターの共同研究によって愛媛県全域の調査が行われ、新たに2種のDiaporthe属菌も黒点病を引き起こすことが明らかとなりました。これらの病原菌がどのような仕組みで黒点病を発症するのか引き続き研究が行われています。
井上さんの受賞課題は「オオムギうどんこ病菌による宿主細胞内デンプン分解機構の解析」です。この研究では、愛媛県の特産品であり主要な穀物である大麦に多大な被害をもたらす「うどんこ病菌」が宿主細胞内のデンプンを分解するメカニズムについて解析を行いました。宿主細胞内のプラスチド(未分化な葉緑体)にGFP(緑色蛍光タンパク質)を局在させた形質転換オオムギを用いて、菌がプラスチドを崩壊させる仕組みの一端を明らかにしました。
三好さんの受賞課題は「CRISPR/Cas9を用いたN’トバモウイルス抵抗性遺伝子感受性アレルの修復」です。植物はさまざまな病原体から身を守るために多様な抵抗性遺伝子を持っていますが、栽培植物の進化の過程でそれが壊れてしまったまま子孫に受け継がれる場合もあります。本研究では、栽培タバコが持つ「壊れた」ウイルス抵抗性遺伝子を、ゲノム編集技術を用いて修復できることを示しました。
<大学院農学研究科>