平成20年4月7日(月)、愛媛県県民文化会館において平成20年度入学式を挙行し、学部学生等1,969人、大学院学生(連合農学研究科を除く。)483人が入学しました。
小松正幸学長は、「大学生活こそが人間的に成長するきわめて大切な期間で
あり、大学で学ぶ第一の目的である知識を得ること、第二の目的である卒業後に自分にあった的確な職業や活躍の分野を見出すことという2つの目的のため、皆さんと教職員が相互に手を携えて、学生生活を真に有意義なものにしていってほしい。」と式辞を述べました。
また、ご来賓を代表して、森本 惇足球即时比分_365体育直播¥球探网校友会会長から、ご祝辞を賜りました。
これに対し、入学生総代の城戸祥子さん(教育学部総合人間形成課程)が、「夢や希望の実現に向け、多くの仲間と共にさまざまなことに挑戦し、探究心と想像力を高め、将来自立した社会人として生きていくために必要な資質や能力を身につけていきたい。」と宣誓しました。
また、大学院入学式では、小松学長は、「社会が求める新しい知の創造や領域の開拓のため、その使命を自覚し、高い志を持って学修と研究に精励され、優れた専門職業人あるいは研究者として成長されますことを念願します。」と式辞を述べ、入学生総代の越智啓二さん(農学研究科修士課程生物資源学専攻)が、「情熱と強い信念を持って真理を攻究し、日々変動する困難な時代を主体的に生きる力と能力を高め、諸先輩方が築いてこられた伝統を基に、社会の発展に貢献できる人物となれるよう、日々研鑽いたします。」と宣誓しました。
続いて、本学の医学研究科修了生でもある坪井敬文教授(無細胞生命科学工学研究センター)から、足球即时比分_365体育直播¥球探网で学んだ自身の経験談や研究成果を交えた特別講話があり、最後に「興味、努力、忍耐、出会いの4つのキーワードを大切にしてください。」との言葉をはなむけとして、激励しました。
広報室
学長の式辞?
本日ここに、平成20年度入学式を挙行するにあたり、足球即时比分_365体育直播¥球探网を代表して、皆さんの入学を心から歓迎いたします。全国各地から、また、外国から、併せて1,969名の若々しい皆さんを足球即时比分_365体育直播¥球探网の新入生としてお迎えすることができました。
この佳き日のために、ご多用にもかかわりませずご臨席を賜りました、高浜愛媛県副知事、足球即时比分_365体育直播¥球探网校友会?同窓会代表の皆様をはじめ、各方面のご来賓の方々、足球即时比分_365体育直播¥球探网名誉教授の先生方に厚くお礼申し上げます。そしてまた、入学生の皆さん方のご家族をはじめ、ご関係の方々のお慶びもひとしおのことと存じます。ご列席に感謝申し上げますとともに、心からお祝いを申し上げます。
さて、新入生の皆さんはこれからが大事なときです。大学生活は、皆さんが責任ある自立した社会人となるために、自分の生き方を見つめ、真の自分を発見し、生きる力を身につける、人生にとってかけがえのない期間です。私たちは皆さんの大学生活の充実と更にその将来における社会人としての活躍を願っています。
足球即时比分_365体育直播¥球探网は4年前、国立大学法人として再出発いたしましたが、国立大学となってから数えますと来年で60周年を迎えます。この間に足球即时比分_365体育直播¥球探网は着実に発展し、世界的な学術研究拠点としてのみならず、地域の教育研究の拠点として、地域を支える人材の育成、学術や文化創造の中心的役割を果たしてきました。今や、本学の沢山の卒業生がこの地域の大学をはじめとする教育機関、県や市町村などの自治体、企業や民間の組織において活躍しており、しかも、それらの重責を担っている方も数多くおられます。最も新しい学部である医学部も今年で創設35周年を迎えますが、卒業生は地域医療の主要な担い手としてますますその重要性を増し、存在感を高めております。
地域にある国立大学の主要な使命は地域の発展を支え、地域の発展を牽引する人材の育成と、そのための学術を創り出すことにあります。もちろん、学術においても教育においても地域だけに閉じたものがある訳ではありませんし、グローバル化が進展する時代にあって、若い皆さんにはとくに世界に通用する素養と能力が求められます。私たちが期待することは、そのような力をつけた皆さんがとくに地域で活躍していただきたい、ということであります。
国の発展は政治的、経済的な中心だけでなく地方においても政治的、経済的、文化的に発展することが必要であります。大都市だけでなく、地方の中小都市や農山漁村、第三次産業のみならず農業や漁業など第一次産業のバランスのよい発展が必要です。このことが成熟した社会として我が国の発展を保証する必須の条件であります。皆さんは国立大学の学生として多くのことを期待されておりますが、いま最も必要なことは卒業後、社会人として地方の発展を図るために力を尽くすことであると思います。
私たちの国はまだまだ経済的にも、文化的にも、政治的にも未発達な段階にあると言わざるをえません。人口が減少して高齢者の比重が大きくなるような社会、若い人が結婚しない、子供をつくらないという社会は後ろ向きの社会です。年収200万円以下のワーキングプアが働く人の25%もおり、障害者が冷たくされる社会、国民の食料を守る農業や漁業の跡継ぎがいない、農村や漁村が過疎化し、限界集落が増加しつつあるような社会は、本当に健全な豊かな社会と言えるでしょうか。毎日の新聞やテレビで見ているような今日の政治的な混迷や対外的なあいまいさについても私たちの社会の未熟さを反映したものと考えなければならないでしょう。若者による悲惨な犯罪も後を絶ちません。
しかしながらこのようなことは我が国の本来的なことではなく、我が国には伝統的に非常に優れたところがあります。我が国は美しい自然に恵まれ、日本人は本質的には大変心根の優しい民族であり、個人個人を大事にし、個々人は利己主義に陥ることなく、人と人との関係、人と社会との関係を大事にしてきました。そして、まれに見る高い文化と文明を築き上げ、技術的器用さと洗練された芸術性を古代から受け継ぎ大事にしてきました。いま世界はまさにこのことに改めて注目し、我が国独自の文化?芸術に対しジャパンクール、かっこいい日本、と賞賛しているのです。
日本は既に成熟してしまった先進社会ではなく、発展しつつある社会であります。言い換えれば、皆さんのような若い人たちが中心になって、この社会の良いところをもっと伸ばし、悪いところを克服し、文化的、経済的、政治的に独自性と存在感のある、精神的にも豊かな社会をつくりあげ、国際社会をリードしていくことが求められているのであります。混迷し、未熟な状況にある社会を改善し、真に先進的な社会を築き上げてゆく事、そのような使命があることを胸に、これからの大学生活に取り組んでほしいと思います。これこそが大学で皆さんが学ぶための基本的な動機ではないでしょうか。
皆さんが社会を良くするために学ぶという動機をもって、大学で学ぶ目的は大きく二つにまとめることができます。第一の目的は、いうまでもありません、知識を得ることであります。何をするにしても、それに関連する知識が必要です。知識がなければ何かをやろうとしていても、手を付けることも、プランを練ることも、先に進むこともできません。ですから、皆さんはなるべく広い分野の良質な知識をまずもって学ぶことが大事です。
自分の選んだ専門領域に留まらず、広い範囲の知識を教養として学ぶことによって、沢山の知識の「引き出し」をつくることが大事です。知識の引き出しは、中身は空っぽになっても、入れるところが用意されているかいないかでは、将来、また勉強するとき大変な違いが出てくるのです。中身の知識はすぐに陳腐化しますから、必要な時にはまた勉強しなければなりません。現代では、私たちは、一生涯勉強することが求められます。そのとき、大学で聞いた、学んだという経験が役に立つのです。
しかし、大学での学習は、知識の体系を学ぶことに留まらず、どのようにして新しい知識を創造するか、そのための原理的で基礎的な知識は何かを学び、新しい知識を獲得し、さらに、真実を導く方法を学ぶことも含んでいます。このためには判断力や考える力、構想力が必要ですが、これを本当に身に付けるためには、自分の考えを自分で組み立てる実践的な学習、ゼミやグループなどでの集団的学習が必要です。
皆さんが大学で学ぶもう一つの目的は、大学を卒業後、自分にあった的確な職業や活躍の分野を見出すことです。大学生活は職業人への貴重な準備期間であり、そのための学修の機会でもありますから、これからの社会が何を必要としているか、自分は現在の社会に対して、この社会をよりよくするために、どのように新しいものを付け加えることが出来るかを深く考え、それにマッチした目標をもって学習に取り組むことが大切です。足球即时比分_365体育直播¥球探网では企業や自治体など、実習を行うインターンシップや職業意識を醸成するためのキャリア教育に力を入れております。このような場を活用して、自分にあった職業分野を探し、理解を深め、目的意識をしっかりもって勉強に取り組んでいただきたいと願っています。
さて、二つの目的を通して最も重要なことは、大学生活こそが人間的に成長するきわめて大切な期間であるということです。
「人間的に成長する」ということは、大人としての思慮分別をもつことだ、と言いかえてもいいでしょう。自分の精神的状態を冷静に省みることができ、他人を思いやることができる、さらには、将来を予測したり、計画を立てて、しっかり行動することができる能力を身につけることです。
このような人間としての成長は、皆さんのこれからの学生生活の中で、仲間との会話や討論、協働、共同作業、助け合いの中で達成されるものです。大学生活とは、教室での授業によって学ぶとともに、研究室やゼミでの学習や、サークルや同好会やボランティアなどのグループ活動の中で、新たな経験や知識を得て、社会の主体的な働き手として成長する機会でもあります。このことから見ても、大学生の時期が、一人の人間の一生にとって、いかに重要な時期であるかが理解できると思います。
足球即时比分_365体育直播¥球探网は法人化を契機に「学生中心の大学を目指す」ことを基本目標の一つとして掲げ、教育の内容や方法についても日々改革改善の努力を重ねているところであります。
いま、足球即时比分_365体育直播¥球探网では教員に対して、分かりやすい方法で、学生諸君が興味を起こす内容の授業を行うよう、改善の努力を要請しております。そのため、以前よりは格段に授業内容が改善され良くなっております。それでも、皆さんにとって、大学の講義はやさしい、分かりやすい話のみではないでしょう。これから、皆さんが、知のフロンティアに参加し、困難な学問の山を登るために、じっくりと勉強をおこない、理解力の水準を上げてゆかなければなりません。
そのためにも皆さんは、授業を受け身の姿勢で聞くだけでなく、参考書を読み、自分で関連書にあたり、学友や先輩たちと議論し、教員に質問するなど、自主的な学習活動を積極的にしていくことが求められます。そうすることによって理解力が飛躍的に高まります。これが大学での本当の学びであり、人間力がついて元気が出てくる学修方法なのです。
もう一つ私たちが心がけていることは、学生の皆さんをお客さんとしてではなく、共にこの大学を良くしてゆくための大学構成員の一員として、協働の関係を築くことであります。私たちはいつでも皆さんの意見を聞く体制をつくっておりますし、組織的に意見や要望を集約する体制もあります。大事なことは、皆さんが大学の構成員の一員として責任ある行動をとり、自立的な社会人になる場として大学を位置づけることであります。もちろん皆さんは、個人的な困難な問題にであうことも十分考えられます。本当に困ったときには、教職員にいつでも遠慮なく相談していただきたい。
教職員と連携し、皆さんが相互に手を携えて、学生生活を真に有意義なものにしていってほしいと心から願っております。
皆さんの充実した学生生活を祈念し、式辞といたします。
平成20年4月7日
足球即时比分_365体育直播¥球探网長 小 松 正 幸