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「公共問題講義」でフリージャーナリストの西谷文和さんが講演

 平成22年1月20日(水)、法文学部総合政策学科の授業「公共問題講義」に、フリージャーナリストの西谷文和さんをお招きしました。

 法文学部総合政策学科では、“現代社会における「公共性」とはなにか?”をテーマに、1回生の後学期に「公共問題講義」という科目を開設しています。この講義では、「公共性」についての理論を学ぶだけではなく、現代社会において「公共性」や「公共空間」の創出のために活躍する方々を招き、現場において問題を発見し、それを解決する実践について学ぶことを重視しています。
 今回の講義では、イラクやアフガニスタンなどの紛争地域の取材を続けるとともに、自ら「イラクの子どもを救う会」を立ち上げて活動されているフリージャーナリスト、西谷文和さんをお招きしました。
 西谷さんは、1998年から始められた紛争地域での取材活動の経験を語られた後、イラク?アフガニスタンの最新情勢をインタビュー映像を交えながら紹介されました。この中で衝撃的であったのは、劣化ウラン弾の影響でがんに侵されたイラクの子どもたちの姿、劣悪な環境におかれたアフガニスタンの難民キャンプの様子、アメリカ軍の誤爆によって両親を失い自ら重症を負った幼い少女の話などでした。
 「他者を排除せず、異質なものを認めながら、徹底した討議で問題解決を図る」という「公共性」が失われ、戦争に突入してしまった現場がどのような状況に陥ったのか、学生たちは実感をもって理解できた様子でした。
 講義の最後に西谷さんは、戦争の大義を説いたバラク?オバマ米国大統領のノーベル平和賞演説を紹介し、「大義ある戦争などない。仮に大義のある戦争があったとしても、イラクやアフガンの戦争に大義はない。」とし、「自分の身近なことに関心を寄せ、学ぶだけでなく、グローバルなレベルで他者の痛みが理解でき、そのような悲惨な状況がなぜ生じるのか、どのようにすれば止められるのか、たとえ無力であっても考え続けてほしい。」と学生に語りかけられました。

<広報室>