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農学部逸見彰男教授のグループが研究開発し実用化した「人工ゼオライト」のJIS規格が経済産業省により制定

平成21年12月21日(月)、人工ゼオライトに関する標準化「人工ゼオライトの陽イオン交換容量(CEC)測定法 JIS K 1478」が、経済産業大臣(経済産業省)によってJIS規格に制定され、同日に官報公示されました。

 JIS(Japanese Industrial Standards)は、周知のとおり、日本工業規格といわれ、工業標準化法に基づき、「日本工業標準調査会」の答申を受けて、主務大臣が制定する工業標準であり、日本の国家標準の一つです。
 「人工ゼオライト」とは、逸見彰男農学部教授のグループが、土壌中に存在する機能性ケイ酸アルミニウム系物質である 「イモゴライト」(無機ナノチューブ)や「アロフェン」(無機ナノボール)の基礎研究との関連で、電力副産物の石炭灰から合成する方法を世界で初めて確立したリサイクル新素材です。環境に対する関心が高まり、循環型の低炭素社会形成やゼロエミッション達成の意識が広まってきた中で、人工ゼオライトは、今様の環境志向型新素材として最近の社会で大きく普及してきています。
 人工ゼオライトに関するJIS規格は、経済産業省の主催する「原案作成委員会(委員長 逸見彰男)」(通称、人工ゼオライト標準化委員会)で、様々な産業分野や大学等からの委員による度重なる審議を行って原案を作成した後、「日本工業標準調査会」の「標準部会(部会長 二瓶好正)」に設置された「一般化学技術専門委員会(委員会長 川瀬 晃)」で作成原案の審議と承認を行うという、複雑な過程を経て制定されたものです。今回、人工ゼオライトの代表的な特性を評価する方法が規格化され、客観的に価値を判断することができるようになったことで、次のようなことが確保できます。

 1)人工ゼオライトについて経済?社会活動の利便性を確保(互換性の確保等)できる。
 2)人工ゼオライト生産の効率化(人工ゼオライトの量産化等)を確保できる。    
 3)人工ゼオライトについて公正性を確保できる。この確保は、人工ゼオライトを扱う者(生産者と消費者、双方の正当な利益の確保につながる)。          
 4)人工ゼオライト技術進歩の促進(人工ゼオライトの新知識創造や新技術の開発?普及の支援等)が確保できる。 
 5)人工ゼオライトの安全性が環境保全との関連で確保できる。         

 人工ゼオライトは、新しい環境技術の基礎を与えるとして、これまで文部科学省、経済産業省、環境省、科学技術振興機構などいろいろな省庁での大型プロジェクトに取りあげられてきました。地方大学の社会貢献が問われている中、大学の義務として、地域への貢献はもちろんのこと、全国及び国際社会での貢献も大変重要となっています。本学で得られた人工ゼオライトの研究成果は、既に関連企業において事業化されていますが、JIS規格が制定されたことで、この研究成果が、これまで以上の規模で様々な産業界で活用できるということになります。次の段階として、人工ゼオライトは、ISO化(国際標準化)の方向に進んでいくことが期待されます。