平成22年3月末退職の農学部生物資源学科 勝山邦久教授から、足球即时比分_365体育直播¥球探网での思い出を寄せていただきました。
定年退職に当たって
平成12年10月に足球即时比分_365体育直播¥球探网に赴任してから9年半という短い期間ではありましたが、定年を迎えることになってしまいました。愛媛に来る前は、筑波にある通産省の資源環境技術総合研究所(現?経産省?産総研)に勤務していました。農学部所属といっても私のポストは、元教養部の先生のポストということで、主として一般教養?地学を担当し、しばらくして構造力学など農学部の専門の分野も担当することになりました。そのため、最初は教育学部を含め他学部の学生も教えていました。また、どういう経緯かは忘れてしまいましたが、障害者学生支援にも携わることになりました。「地球の歴史」、または「地球と環境」の授業だったでしょうか、耳の不自由な学生がおり、その隣でノートテイクするボランティアの学生がいました。研究所勤務だと障害者と接することは滅多にありませんが、大学だとそういう機会も増えるものだと感心した記憶があります。その頃、IBMのパソコンで、しゃべると文字に変換するソフトが出始め、私もそれを購入して使うようになり、そのパソコンを耳の不自由な学生のいる授業に使ったことがあります。パソコンのスピードはまだ遅く、ゆっくりしゃべらないと上手く変換されないことが多くありましたが、ノートテイクするボランティアの学生はすごいと言って喜んでくれました。しかし、結局は役に立ちませんでした。私自身、前もって練習し、パソコンに用語の変換を学習させていなかったのが大きな理由だと思います。
この原稿を書く前日(平成22年1月13日)、NHKの番組で「プロフェッショナル?仕事の流儀」を見ました。研究者の浅川智恵子さんを紹介するものでしたが、彼女はIBMの研究所勤務で、彼女自身は中学生の頃、水泳中に眼をぶつけて盲目になったそうです。彼女は、インターネットなどで表示される言葉を音声で伝えるソフトを開発して実際使われているそうで、IBMの数少ない「フェロー」にもなった優秀な人です。同じIBMのパソコンを使って成功した浅川さんと役に立たなかった私の差は、やはりやる気でしょうか。必死でやる気を出せば、私ももう少し上手く行ったかも知れません。
在職中、「英語で学ぶ構造力学」と「英語で学ぶ土質力学」なる教科書を、酒井先生と共著で出版しました。英語が得意というわけではなく、たまたま外国人の友達と一緒に何かしようかと話していたときに出版社から話があったのが始まりです。世界の中の日本を考えれば、バイリンガルは今後ますます重要になってくると思いますが、バイリンガルは、英語と日本語、仏語と日本語という外国語と日本語の組み合わせだけではなく、手話と日本語という組み合わせもバイリンガルだと思います。
大学は多様な人の集まりで、やる気を出せば良い経験が出来る社会です。手話と日本語というバイリンガルが広まること期待して定年の感想の一つとしたいと思います。