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理工学研究科松岡健太さんらの研究グループが125億光年彼方の銀河に炭素を発見

理工学研究科博士後期課程2年生(日本学術振興会特別研究員)の松岡健太さんらの研究グループは、国立天文台すばる望遠鏡を用いた観測によって、125億光年彼方の銀河から放射された炭素輝線の検出に世界で初めて成功しました。

 現在の宇宙には100種類以上の元素が存在しています。しかしながら、宇宙が誕生して間もない頃、宇宙には水素とヘリウムしか存在しなかったと考えられています。では、現在の宇宙に見られるような元素はいつ、どのように生成されてきたのでしょうか。私たち自身も炭素や酸素、カルシウムなどの元素で構成されていることを考えると、元素生成の歴史を解き明かすことは人類の究極的なルーツにも繋がる極めて興味深い課題です。
 今回、理工学研究科博士後期課程2年生(日本学術振興会特別研究員)の松岡健太さんらの研究グループは、世界最大級の口径を誇る国立天文台すばる望遠鏡を用いた観測によって、125億光年彼方の最遠方電波銀河から放射された炭素輝線を世界で初めて検出しました。この検出によって、これまで明らかにされていなかった宇宙誕生後10億年頃の炭素元素の調査が可能になりました。同研究グループによる調査の結果、当時の電波銀河には既に炭素が豊富に存在していたことがわかりました。これは、現在電波銀河に見られるような元素のほとんどが宇宙誕生後10億年以内という極めて短い期間に爆発的に生成されたことを示唆しています。松岡さんは、「私たちはどこからきて、どこへいくのか。人類のルーツにも繋がる元素生成の歴史を解き明かすために、今後もさらなる調査を進めて行きたい」と意気込んでいます。
 なお、本研究成果は平成23年8月発行の欧州天文専門誌「Astronomy & Astrophysics」に掲載されました。また、本研究成果は平成23年10月6日(木)に国立天文台すばる望遠鏡ウェブページにてリリースされました。

国立天文台すばる望遠鏡ホームページ(ウェブリリースページ)

研究グループの構成
松岡健太(足球即时比分_365体育直播¥球探网大学院理工学研究科/京都大学大学院理学研究科?日本学術振興会特別研究員)、長尾透(京都大学白眉プロジェクト?准教授)、Roberto Maiolino(ローマ天文台?准教授)、Alessandro Marconi(フィレンツェ大学?准教授)、谷口義明(足球即时比分_365体育直播¥球探网宇宙進化研究センター?センター長/教授)

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最遠方電波銀河TN J0924-2201のハッブル宇宙望遠鏡による可視光画像。TN J0924-2201は可視光で25.85等級の明るさ。

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すばる望遠鏡で取得された最遠方電波銀河TN J0924-2201の可視スペクトルと炭素輝線(下向き矢印)周辺の拡大図。図中の左端付近に見えるのは水素からの輝線。すばる望遠鏡を用いることで、非常に微弱な125億光年彼方の炭素輝線を世界で初めて検出しました。

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理工学研究科博士後期課程2年生(日本学術振興会特別研究員)の松岡健太さん。

 

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