このたび、ヨーロッパ造血細胞移植学会で最も権威ある賞van Bekkum Awardを、医学系研究科生体統御内科学の安川教授らの研究グループが受賞し、パリで開かれた開会式典で第一内科藤原弘講師が、記念講演を行いました。
安川教授と藤原講師らの研究グループの演題「新規腫瘍抗原Aurora kinase-A由来9アミノ酸抗原(アミノ酸残基;207-215)をHLA-A*0201拘束性に特異的に認識するT細胞受容体(TCR)遺伝子を導入した人工CTLを用いる白血病に対する新たな免疫遺伝子治療の開発」が、第37回ヨーロッパ造血細胞移植学会(European Group for Blood and Marrow Transplantation: EBMT)総会で、日本から初めてvan Bekkum Award(最優秀賞)に選ばれ、平成23年4月3日(日)、藤原講師が、パリで開かれた総会初日の開会式典で、受賞記念講演を行いました。van Bekkum Awardは、世界の造血幹細胞移植医療?研究をリードするヨーロッパ造血細胞移植学会(1974年創設)が、同種造血幹細胞移植における最も重要な現象であるGraft-versus Host Disease(GVHD:移植片対宿主病)発見者であるDirk van Bekkum博士の功績を記念して創設した、本学会における最も権威ある賞です。今回、本演題は応募総数約1400演題の中から最も優れた演題に選ばれ、受賞となりました。Aurora kinase-Aは、白血病に限らず、固形がんを含めて多種のがん細胞に過剰発現が認められ、分子標的薬の開発も進んでいる有望ながん治療標的分子であり、今後、その発展性が期待されることも併せて評価されました。同グループでは、現在、白血病に対するAurora kinase-Aペプチドワクチン臨床試験を実施しており、さらに現在予定されているWT1-TCR遺伝子治療臨床試験に続く臨床試験として本研究を計画しています。
「EBMTの後、イタリアで開催された別の学会で、白血病研究者として高名なロンドン大学のJohn Goldman博士が私たちの発表内容を、今後注目すべき研究、として引用されていました。さらに研究を進めて臨床的有効性の高い白血病治療法として確立したいと考えています。」と藤原講師は抱負を語っています。
<医学部>