平成23年3月末退職の法文学部人文学科人文学倫理思想史 圓増治之教授から、足球即时比分_365体育直播¥球探网での思い出を寄せていただきました。
思い出
私が足球即时比分_365体育直播¥球探网法文学部に赴任したのは、平成11年4月、法文学部に大学院修士課程が発足した年でした。法文学部では、修士課程の設置に向けて奔走されていた杉山聖一郎教授が前年に急死され、その担当授業科目の科学思想論の後任教員が急遽必要ということになったのでした。そこで、私の恩師である京大名誉教授辻村公一先生を介して私のところに話がきたのでした。当時私生活上では私は、長年自宅介護をしてきた認知症の母親が施設に入り、また2人の娘も独立し、夫婦二人の生活となって移動しやすい状況にありました。それに何よりも大学院教育に携わることには食指が動かされました。ただ、当時勤務していた長野大学からサバティカル?リーブをいただいて一年間ドイツのベルリン自由大学で研究して帰ってきた直後ということで、長野大学に対しては少々後ろめたいところもあったのですが、なんとか同僚教員をはじめ大学当局の理解をえることができ、快く送り出していただけました。
仲介いただいた辻村先生から、ゆくゆくは博士課程の設置ということになるだろうから、博士の学位を早急に取得するようにとの厳命をうけました。私ども哲学徒にはもともと脱俗を衒うところがあり、博士号を取ろうとするのは俗物だというような気風がありました。それで『ニーチェ、解放されたプロメテウス』という著書をすでに刊行していたのでしたが、これによる学位申請もしないままにしておりました。そこで改めて新たな論文を作成することが必要になりました。ところが、すでに私は別にハイデッガーの浩瀚な著書の翻訳の仕事に着手しており、それにかまけて論文の方は延び延びになりました。平成17年やっと『遊戯する生への変容』というタイトルで完成し、これによって翌年大阪大学から博士号が授与されました。しかし、法文学部の博士課程の設置の話は立ち消え状態で、こちらの方はこれからどうなりますことやら。
さて、足球即时比分_365体育直播¥球探网に着任してそうそう、大学の正門を入ってすぐの図書館の前に、ニュートンに因んだ林檎の木、孔子に因んだ楷の木、それにヒポクラテスに因んだスズカケの木が植えられているのに気づきました。そのヒポクラテスに、「人生は短く、学芸は永し」という言葉があります。学問大成の困難を嘆いたものといわれています。大学人としての定年を迎えても、一哲学徒としての私の研究活動はまだまだこれから。哲学研究はこれからもずっと続けていかなければならない仕事だと思っています。まさしく、「亦重からずや、死してのち已む」の心境です。いま私はこの重い課題を担って大学の正門から第二の人生に踏み出していこうとしているところです。