理工学研究科の森本和也助教、佐藤久子教授、長岡伸一教授、小原敬士准教授及び中江隆博助教らの論文が、Royal Society Chemistry(英国王立化学会)の雑誌(New Journal of Chemistry)のHot Article(平成24年10月18日)及び Inside front cover(12月号) に選出されました。
この雑誌には、新しい化学分野の創成を目指した内容の論文が毎月約30件程度掲載されています。その中でも特に独創性が高く重要な研究で、イノベーションの創出の可能性のある論文が、年に数回4?5件、Hot Articleとしてエディターから選ばれています。
今回選ばれたのは、新しいタイプの気体の発光センシングデバイスへの応用が期待される論文です。
森本助教らは、イリジウム金属錯体と粘土ナノシートとのハイブリッドLB(Langmuir-Blodgett)膜により、ナノメートルオーダーの堅固な膜の製造に成功しました。さらに、発光色の異なるイリジウム金属錯体の積層の順番を任意に変えることができる人工積層法の技術を開発しました。この技術によって、ナノメートルオーダーの膜を用いて、酸素分圧によって青色発光から黄色発光へと変化する2重発光特性を実現しました。
この研究は、将来、ナノメートルオーダーの膜によって、高感度でしかも迅速可逆的応答性をもつリアルタイム酸素センサーへの応用を示唆するものとなっています。
論文名:Dual Emitting Langmuir-Blodgett Films of Cationic Iridium Complexes and Montmorillonite Clay for Oxygen Sensing
Kazuya Morimoto、 Takahiro Nakae、 Keishi Ohara、 Kenji Tamura、 Shin-ichi Nagaoka and Hisako Sato
New J. Chem. 36、 2467-2471 (2012)
<理学部>