お知らせ

理数教育担当教員のための最先端科学技術体験合宿プログラム「平成24年度サイエンス?リーダーズ?キャンプ」を実施しました【8月2日(木)?8月5日(日)】

平成24年8月2日(木)?5日(日)、無細胞生命科学工学研究センターにおいて、サイエンス?リーダーズ?キャンプ「試験管内タンパク質合成技術を活用した次世代の生命科学教育」を実施しました。

 独立行政法人科学技術振興機構が主催する「サイエンス?リーダーズ?キャンプ」とは、中学校、高等学校等の理数教育を担当する教員が、合宿形式で最先端の科学技術を体感し、才能ある生徒を伸ばすための効果的な指導方法を修得することにより、理数教育における指導力の向上をはかるものです。また、参加者が将来、都道府県等の理数教育において中核的な役割を担う教員となるための素養の育成を図るとともに、地域の枠を超えた教員間のネットワーク形成を支援することも目的としています。今年度は全国の5大学で開催されています。

 本学におけるキャンプの特徴は、新しい高等学校学習指導要領にそって「生物基礎」、「生物」に大幅に取り入れられた「遺伝情報の流れ」や、「DNAとタンパク質の働き」を理解させるために重要となる遺伝子操作や無細胞タンパク質合成の実験を体験すること、および、より高度な課題研究などを実施できるよう、高校での学習レベルを超えた高度な内容や研究センターにおける生命科学の先端研究の見学が含まれている点にあります。またキャンプ終了後には新しい指導要領にそった生命科学の学習により効果的な実験テーマや教材などを参加した高校教員自身が考案することになっています。

 各県の教育委員会などから推薦を受けた17人の化学あるいは生物担当の高校教員(愛媛県と高知県、各3人、徳島県と愛知県、各2人、香川県、京都府、福岡県、佐賀県、熊本県、長崎県、広島県、各1人)は、まず、無細胞生命科学工学研究センターの林秀則教授から、遺伝子とタンパク質に関する講義を受けた後、理工学研究科の大学院生および理学部学生などから指導を受けながら実験に取り組みました。1日目はDNA断片を接続して組換えDNAの作製し、これを大腸菌に導入しました。2日目は本キャンプの目玉となるコムギ胚芽による無細胞タンパク質合成実験を、平成25年度から使用予定の高校教科書に掲載されている探究活動を先取りして実施しました。3日目はDNAの塩基配列をオートシーケンサーで解析したり、遺伝子組換えによって作られたタンパク質の分子量を質量分析装置で決定したりと、通常、高校では実施できないような実験にも取り組みました。多くの参加者にとってほとんど初めての実験もあり、器具の使い方や試薬の成分、各操作の意義などを学生補助員に熱心に質問していました。

 2日目の午後は重信キャンパスに移動し、プロテオ医学研究センターの東山繁樹教授からゲノム情報やタンパク質研究の医療への応用に関する講義を受け、質量分析装置や画像解析装置などを見学しました。3日目の午後には無細胞生命科学工学研究センターの各研究において研究内容や実験装置などの説明を受けました。両日の見学とも活発な質問と説明が交わされ、予定時間を超えた一方で、「基礎的な実験内容が日常生活や医療とどのように関わっているか聞くことができ、高校生に教えるときにより具体的なイメージをもって教えることができる」といった感想が聞かれました。また4日目にはテレビ会議システムによって米国サンタクルズから遠藤弥重太特別栄誉教授による「神秘的な生命の原理を探ってみよう」と題した講義を受け、海外との双方向授業に感動した様子でした。

 食後の時間などにはポスターセッションが行われ、新しい学習指導要領に関連した実験や探究活動、あるいは今後実施してみたい実験などについて活発な討議がおこなわれました。ポスターセッションでの討議および3日目の高崎健康福祉大学の片山豪教授による「先端技術を教材にする!」と題した授業などを参考として、今後各参加者はより洗練された学習内容や実験教材を考案することになっています。

 今回のキャンプに参加した熱心な教員によって、無細胞タンパク質合成法を活用した実験が高校でも実施されること、また本学における生命科学の研究が多くの高校生に紹介されることが期待されます。一般的に、大学における高校教員に対する各種事業が県単位であるのに対し、今回のキャンプの参加者は複数の県にまたがっているため、教員間の連携によって同様の内容に触れる高校生の数はさらに多くなるものと期待されます。

プログラム概要(PDFファイル 118KB)

サイエンス?リーダーズ?キャンプHP

 

<プロテオサイエンスセンター>