平成25年7月11日(木)、農学部大講義室で「理系実験を安全に行うために-化学物質の危険性と事故予防-」という題目で安全衛生特別講義を行いました。
この講義は、農学部2年次専門科目「技術者の初歩」の特別講義として、平成20年度から毎年実施しているものです。テレビ会議システムを利用して、農学部大講義室のある樽味キャンパスの映像を、城北キャンパスの総合情報メディアセンターで同時中継しました。
今回は、大阪大学安全管理部の山本仁教授を講師に迎え、樽味キャンパスでは農学部の伊藤和貴准教授、城北キャンパスでは工学部の宮崎隆文准教授が進行役を務めました。講義には学生と教職員を含め、樽味キャンパスから約180人、城北キャンパスから約20人の合計約200人の出席がありました。
始めに「安全は与えられるものではなく、一人ひとりが注意をはらうべきものである」という事に意識を向け、ハインリッヒの法則(1件の大事故の陰には、29件の障害を伴う中規模の類似事故が起こっており、さらにそれ以前には300件のインシデントが起こっている)についての説明がありました。そして、実際に大阪大学の安全管理部へ連絡があった実験中の事故事例を参考に、具体的な事故防止の方法について講義が行われました。
また、講義室内に準備した空き缶を使った爆発実験が行われ、気化したアルコールが大きな爆発音を立てると同時に空き缶の蓋が吹き飛ぶ様子を見て、出席者からは「うわぁ!」とか「おっ」というどよめきがあがりました。次に、照明を落とした会場の中で、透明の管の中を引火した炎が走る模擬実験には、炎の早さに驚いた様子でした。この模擬実験は、映像ではなく本物を見て実感して欲しいということで、今回から初めて城北キャンパスの会場でも同じ装置を準備し、宮崎准教授が同時に実演を行いました。さらに、実験台の上に溢れた薬品の量によって、それが引火した時の炎の大きさが変わる様子や、消火器の使い方などに関する実験映像を実際に見ることができました。
講義は「化学実験中に起こる事故は『不注意と知識不足』によるものがほとんどです。事前に使用する薬品の危険性や、実験に関するあらゆる情報をよく調べ、事故が起こった場合にパニックにならないための心の準備をして、安全に楽しく実験をして下さい。」と締めくくられました。
最後に、伊藤准教授から山本教授にお礼の挨拶があり、2つの会場から感謝の気持ちを込めて拍手を送りました。出席者からは「実例の紹介が多く参考になった」、「あらためて実験室での危険を認識できた」、「マニュアルでは分からない情報を得ることが出来た」等の感想がありました。
安全環境課では、今後もこのような安全衛生に関する講義を継続的に支援し、教職員及び学生の意識強化を図っていきます。
<施設基盤部>