カーネギー研究所地球物理学研究施設の河野義生研究員(前地球深部ダイナミクス研究センター特任助教)や、地球深部ダイナミクス研究センターの大藤弘明准教授らのグループによる最新の放射光実験技術を用いた高温高圧下での二酸化炭素に富んだマグマの粘性に関する研究成果が、英ネイチャー出版のNature Communicationsの10月14日号に発表されました。
本研究では、米国アルゴンヌ研究所の先進放射光実験施設(APS)のカーネギー研究所地球物理学研究施設関連ビームライン(HPCAT: High Pressure Collaborative Access Team)において、新しい超高速X線イメージングと高温高圧実験技術を組み合わせることにより、二酸化炭素に富んだマグマ(カーボナタイトメルト)の粘性を精度良く測定することに成功しました。この結果、カーボナタイトメルトは玄武岩質マグマなどに比べて2桁程度粘性が低く、流動性が高いことが明らかになりました。カーボナタイトマグマを噴出している活火山として、現在ではタンザニアのオルドイニョ?レンガイ火山のみが知られていますが、過去には世界中で同種のマグマが発生したことが分かっています。本研究は、二酸化炭素の地球内部における存在量の推定や、マグマの移動プロセスを知る上で重要な基礎的データをもたらすものです。
本論文の筆頭著者である河野研究員は、地球深部ダイナミクス研究センターで博士研究員?COE特任助教を経て、現在APSでビームラインサイエンティストの職を得て国際的に活躍しています。また、共著者の大藤准教授は、電子顕微鏡を用いた実験回収試料の微細組織観察および化学組成分析において、本研究に貢献しました。
発表論文
Kono, Y., Kenney-Benson, C., Hummer, D., Ohfuji, H., Park, C., Shen, G., Wang, Y., Kavner, A., and Manning, C.E., Ultralow viscosity of carbonate melts at high pressures, Nature Communications 5, Article number: 5091, doi:10.1038/ncomms6091, 2014.
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