お知らせ

平成26年度附属高等学校夏季高大連携プログラム「応用科学探究」を実施しました【8月1日(金)】

 平成26年8月1日(金)、教育学部理科教育講座で、結晶構造をテーマとした平成26年度附属高等学校夏季高大連携プログラム「応用科学探究」を実施し、附属高等学校の2年生12人の参加がありました。

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カラーボールを用いたモデルで結晶を学習中

 本プログラムは、附属高等学校の2年生が夏季休暇を利用して、高等学校の授業では接する機会のない大学ならではの専門分野の学びの醍醐味を味わうものです。教育学部理科教育講座では、自らの中にある学びに対するモチベーションを高める学習機会として、大橋淳史准教授の研究室で開発された、金属結晶構造について学習する新たな教育教材を用いて結晶について学習しました。
 2014年は、国連、ユネスコ、国際結晶連合、国際科学会議によって「世界結晶年」と指定されています。これは、私たちに身近な食塩や氷、宝石などの「結晶」の構造を解明する第一歩となった、マックス?フォン?ラウエ博士の発見が1914年にノーベル賞を受賞して、今年がちょうど100年目にあたるためです。世界結晶年を記念して、世界中で結晶に関するイベントが開催されており、本学でも7月26日(土)に理化学研究所放射光総合科学研究センターの髙田昌樹副センター長をお迎えして、「世界結晶年記念講演」を開催しました。
 この一環として、「応用科学研究」でも結晶に関する研究を取り上げました。しかしながら、結晶構造の研究では日本は世界を常にリードする存在であるにも関わらず、学校教育では限定的な取り上げ方しかされないため、高校生は結晶に関する知識を持ちません。
 そこで、本実施では高校生にも理解しやすいように、高校化学基礎、化学で学ぶ金属結晶を題材にして、本研究室で新たに開発したカラーボールおよびスーパーボールを素材とした金属結晶学習モデルを使って、結晶とは何か、結晶構造とは何かついて研究を行いました。
 高校生は、カラーボールを使ったモデルで、まず結晶とは原子が規則正しく並んでいることを学習し、その後、スーパーボールを使ったモデルで、金属結晶格子に原子が何個入っているのか、また空間充填率は何%なのかを実験で確認しました。高校生は、体心立方格子、面心立方格子、六方最密構造の3つの結晶構造を実験的に求め、理論的な空間充填率に対して相対誤差0.9、2.2、2.2%で空間充填率を決定しました。実験後、高校生は、自らスーパーボールを使った金属結晶モデルを製作して、今後の研究のために持って帰りました。
 結晶構造について理解を深め、世界的物理学者の寺田寅彦先生、西川正治先生の後を受け継ぐ、新たな結晶学の研究者が生まれることが期待されます。

<教育学部>