お知らせ

大学院理工学研究科の長岡伸一教授らによるChemistry Letters誌の論文が「CSJ Journal Report Vol.1(平成26年3月発行)」においてHot Articleに選出されました.

日本化学会が、2012年からこれまでに発行した学術雑誌の注目論文を集めた「CSJ Journal Report Vol.1」を発行し、大学院理工学研究科の長岡伸一教授らがChemistry Letters誌に発表した論文がHot Articleに選ばれました。

 今回選出された論文は、学部2年生から博士後期課程に至るまで体系的に行っている量子化学の新しい教育手法とそこから得られた知見に関するHighlight Reviewです。
 量子化学を充分理解することは、数学が得意でない学生には難しい場合があります。そこで、長岡教授らは、単に講義を聴いたり紙と鉛筆で演習をするだけではなく、普及しているマイクロソフト?エクセルなどを利用して「手を動かして絵を描く」ことによって理解を促進しようと考え、この論文で説明した実習を授業中に行っています。また、教科書に書いてあることと実習の結果が必ずしも一致しないことは興味深いことであり、その一部を図に示しました。例えば、実際のフッ化水素の軌道エネルギー準位図は教科書に記載されている図と大きく異なりますし、sp3混成軌道も教科書の図とは異なっていてテトラヘドロンではありませんが、その理由についても論文で説明しました。
 さらに、この論文に記したのとは別の部分(分子回転)の実習は、量子化学の新しい教育手法として、アメリカ化学会発行の化学教育専門誌であるJournal of Chemical Educationの2013年の90巻5号669ページに掲載され、世界的にも注目を集めています。今後とも、こうした新しい教育手法を開発して世界に広げていくことを目指します。<理学部>

『CSJ Journal Report Vol.1』

  論文名:A Revisit to Molecular Orbitals in H2+, LiH, HF, and Hybridization
       Shin-ichi Nagaoka, Hiroyuki Teramae, and Umpei Nagashima
       Chemistry Letters, 41(1) 9-14 (2012)

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従来の量子化学の教科書の記述と一致しない実習の結果