平成27年6月20日(土)、教育学部2号館2階理科学生共同実験室2で、おもしろ理科教室第1回(科学イノベーション挑戦講座第1回並行開講)「身近なものを科学しよう!」を開講しました。
おもしろ理科教室は、松山市教育委員会、松山市中学校理科主任会おもしろ理科実行委員会が主催する、松山市内の理科好きな中学生を対象とした理科体験プログラムです。また、科学イノベーション挑戦講座は、国立研究開発法人科学技術振興機構の次世代科学者育成プログラムメニューB採択事業として、3年目の実施になりました。次世代科学者育成プログラムメニューBは、全国で5件しか採択されない希少な事業であり、本事業は昨年度の実績により、1期3年間継続採択されています。これまで3年間継続採択されたのは全国でも2件だけであり、地域に輝く大学を目指す本学が、地域の地(知)の拠点として活動していることを示唆するものです。本事業では、事業開始当初から、おもしろ理科教室と協働して事業を実施しており、本年度もおもしろ理科教室第1回を科学イノベーション挑戦講座と同時に開催しました。
今回は、「身近なものを科学しよう!」という題材で、CDを使った簡単な分光器を設計?製作し、光を分光して、「光の見え方」と「光の種類」とにどのような関係があるのかを探究しました。

アシスタントの大学生に手伝ってもらいながら分光器を製作
まず、工作用紙を使って、自分だけの分光器を設計しました。分光器は、(1)光の入り口の高さを1 mmにすること、(2)縦長の立方体にすること、(3)内部に光が入らないように隙間をしっかりと止めること、以上3点の約束以外は自由に設計できます。立方体は大きい方がいいのか、それとも小さい方がいいのか、光の出口は大きい方がいいのか、小さい方がいいのか、中学生たちは「どうすれば上手く見える装置になるのだろう」と考えながら設計していきました。分光器にCDを貼り付け、光源にかざすと光が分かれて見えます。
中学生たちは、奇跡的に恵まれた晴天の太陽、蛍光灯、白熱灯、白色LED、赤?青?緑の単色LED、ナトリウム灯などで、光の見え方の違いを観察しました。そして、「温かい光」と「温かくない光」、「連続して見える光」と「線のように見える光」に分類し、「なぜそうなるのか」について考えました。また、白色LEDと赤?青?緑の単色LEDを合わせた白色光との違いについても考えました。白色LEDと赤?青?緑の単色LEDを合わせた白色光は、同じLEDですが見え方が異なります。見え方が異なる理由として、太陽と蛍光灯のように発光の原理が異なるのか、それとも発光の原理は同じだが見え方が違うのかについて考えました。そして、LEDの見え方の違いから、「見えるものの観察は極めて重要だが、見えないものへの考察が必要である」こと、だからこそ学校では学ぶ必要があることについて解説を行いました。
- 染色中の様子
- 単色LED光を合わせて観察中

いろいろな光を分光しよう
今回の分光の原理は、中学校第1学年で習う「光の屈折」を利用していますが、その詳しい原理は高校物理で学習する内容です。しかし、私たちはこれを「虹」として見ています。何気なく見上げる虹にも、壮大な科学が隠れています。科学は私たちにとても身近な存在ですが、普段は身近すぎて意識することはありません。しかし、一度「なぜそうなるんだろう」と考えたとき、私たちの目の前には広大な科学研究の地平が広がります。