平成27年7月28日(火)?31日(金)、プロテオサイエンスセンターで、サイエンス?リーダーズ?キャンプ「タンパク質研究の先端技術を活用した実践型次世代生命科学教育」を実施しました。
国立研究開発法人科学技術振興機構が主催する「サイエンス?リーダーズ?キャンプ」は、中学校、高等学校等の理数教育を担当する教員が、合宿形式で最先端の科学技術を体感し、才能ある生徒を伸ばすための効果的な指導方法を修得することにより、理数教育における指導力の向上を図るものです。また、参加者が将来、都道府県等の理数教育において、中核的な役割を担う教員となるための素養の育成を図るとともに、地域の枠を超えた教員間のネットワーク形成を支援することも目的としています。今年度は全国の5大学で開催されています。
本学におけるキャンプの特徴は、生命体の分子素子であるタンパク質研究を機軸とし、「組換えDNAの作製と遺伝子導入」、「本学で開発されたコムギ胚芽を利用した無細胞タンパク質合成実験」、「質量分析によるタンパク質の分析」など、一般の高校では実施が困難な実験を体験し、「遺伝情報の流れ」や「DNAとタンパク質の働き」を理解させるために必要となる「生命現象を分子レベルで理解する素養」を体得すること、および研究センターにおける先端研究の見学や才能教育に関する講義などによって、学習レベルを超えた高度な課題研究なども実施できるようになること、にあります。そのため、キャンプ参加者は、勤務地において生命を理解するための授業を実践する一方で、より高度な課題研究や教材などを考案し、その情報を共有することも求められています。
当日は、各県の教育委員会などから推薦を受けた19人の化学あるいは生物担当の高校教員が、プロテオリサーチ領域の林秀則教授や、その他本学の教員から講義を受け、理工学研究科の大学院生および理学部学生などから指導を受けながら、様々な実験に取り組みました。
多くの参加者にとって、ほとんど初めての実験もあり、器具の使い方や試薬の成分、各操作の意義などを熱心に質問していました。また、研究室の見学では、活発な質問と説明が交わされ、「生命科学の現状と医学への応用について聞くことができ、高校生に教えるときにより具体的なイメージをもって教えることができる」といった感想が聞かれました。
このような参加者自らの積極的な取組みや教材に関する質問などから、今後、キャンプに参加した教員が、無細胞タンパク質合成法やタンパク質の分析などの実験を授業に取り入れ、分子生物学や生化学に関連した生命科学教育が高校でも実施されること、また本学における生命科学の研究が県外の多くの高校生に紹介されることが期待されます。