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HISTORY ?大学院理工学研究科物質生命工学専攻 前川 尚教授?

平成21年3月末退職の大学院理工学研究科物質生命工学専攻物性化学 前川 尚教授から、足球即时比分_365体育直播¥球探网での思い出を寄せていただきました。

定年にあたって

前川教授

前川教授

平成2年10月31日、吹雪の前任地を離れ、降り立った松山は清清しい秋の佇まいというより、むしろ暑さを感じたのを思い出します。居室になる工学部3号館は、外観が白色で何とか面目を保っているようでしたが、中へ入ると、狭い16番、17番教室にはびっくりいたしました( 教室はなくなりましたが、その他は今日現在まったく変わっておりません。改築または改装を切に願っています。)。窓のすぐ外、これは立派なグラウンドで、学生や教職員、時には高校生が走り回っていました。それから18年半の年月が過ぎ、狭いキャンパスにすっかり慣れてしまい、今や3号館から生協会館へ行く道が大分遠くに感じられるようになりました。年を取ったせいもありましょうが、大学の環境整備が着々と進んで、大学らしい雰囲気になって、周りを見るゆとりができるようになったことが大きいかもしれません。
 担当は資源化学科海洋資源化学講座でした。研究?教育担当分野で言えば「分析化学」に対応します。私が今まで行ってきた研究の継続ということを考慮し、「高温分析化学」の看板を上げることとし、次の研究テーマを設定しました。
1.セラミックスを利用する分析化学
2.水溶液から無機高温融体(ガラス融体)までの電気化学(ボルタンメトリーなど)
3.ガラスのスペクトルによる状態分析化学
とはいえ、高温を実現させるためには電気炉が必要で、消耗品も高純度焼結アルミナ管や、白金るつぼ、熱電対など高価なものばかりでありました。科学研究費やニューガラスフォーラムのお力添えで着々と整備され、現在では1,600℃での高温融体のボルタンメトリーを精度よく行えるようになりました。この研究は後に、ガラス製造時の泡の除去(清澄)と強く関係し、ガラス製造現場の方々との交流も頻繁にでき、良い勉強になりました。
 大学を出てすぐに助手になりましたので、43年間の教員生活となりました。すばらしい恩師、先輩、同僚、後輩や学生諸君のお陰で、無事ここまでこぎつけることができました。副学長?理事の時はとりわけ事務方の皆さんのご協力を得ました。毎年2月末、卒業論文や修士論文の発表会が開かれます。終わった時は感無量で、教員として一番の瞬間ではないかと思っています。研究面での一番の思い出は、セラミックス協会より平成16年度に学術賞「酸化物ガラス及び融液の化学反応と塩基度概念による評価の研究」を戴けたことです。この受賞は私というより研究室に所属したすべての皆さんのご協力の賜物と感謝しています。研究室が世に認められたといって良いかもしれません。
今、大学教員に課せられた役割には教育?研究?社会との連携?管理運営などありますが、世間が研究面を重視していることは疑いありません。足球即时比分_365体育直播¥球探网はその意味でも、誇れる大学と確信しています。研究面の更なる充実を柱に、一地方の大学ではなく、日本の、世界の大学として今後ますます発展することを祈っております。