地球深部ダイナミクス研究センターの入舩徹男センター長が、世界最硬の人工ダイヤモンドの大型化に成功しました。
ダイヤモンドは美しい宝石であるとともに、最も硬い物質であることはよく知られています。地球深部ダイナミクス研究センター(GRC)の入舩センター長らと、住友電気工業エレクトロニクス材料研究所の角谷均主席研究員らの共同研究グループは、世界一硬いダイヤモンドの合成に成功し、2003年にイギリスの科学誌「ネイチャー」に発表しました。
このダイヤは直径10-30ナノメートル(1ナノメートル=100万分の1ミリ)という、細かいダイヤの粒が集まった“多結晶体”で、ナノ多結晶ダイヤモンド(NPD)と名づけられました。しかし発表当時は、せいぜい1?2ミリ程度の大きさのNPDしか合成することができませんでした。
今回、住友電工などとの共同研究により、4ミリを越える大きさのNPD合成に成功しました。GRC設置の世界最大級の超高圧発生装置、「ORANGE-3000」を用いて様々な改良を行った結果、15万気圧?2300度という高圧高温条件下での大型化が可能になりました。
宝石の“単結晶ダイヤモンド”と違い、NPDは見た目は少し黄色がかって、あまり美しくはありませんが、NPDは非常に硬い上に割れにくいという性質をあわせもっています。
今回の大型化により難加工材料の切削などへの応用が期待されています。また同様の合成方法を用い、従来にない特性をもつ新しい超硬材料の開発にも取り組んでいます。更に、超高圧発生装置の一部にNPDを使用することにより、GRCの「ORANGE」を用いて地球の核に対応する、100万気圧以上の圧力の発生も目指しています。
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広報室