未来の愛大生へ

2025.01.14
留学のすすめ

薬師神 芳洋 教授

●大学院医学系研究科
●臨床腫瘍学、がん化学療法?がん遺伝子解析

今年、英国Leeds大学の社会学者から、欧州人の移動やライフ?スタイルに関する興味深い報告がありました(「ユーロスターとユーロシティ」)。同書によると、欧州を股にかけて活躍する人材の多くが地方都市出身者で占められ、一定の国家に安住するのは、同じ地域や大学で学んだ都会出のいわゆるボンボンエリートが多いとのことです。「なるほど」と納得するのは、私の周りにも、いわゆる中高一貫教育の有名進学校よりも地方や僻地出身の学生に気骨ある若者が多く、卒後に「化ける」輩が多い様に感じているからです(もちろん例外もあり、ステレオ?タイプと反論されるかもしれませんが…)。こういった学生ほど、「海外を見てみたい留学したい」と寄ってくる気がします。私自身に気骨があるかどうかは横に置いて、田舎(北宇和郡 [現宇和島市] 津島町)に育ち、卒後は海外見たさで基礎医学と臨床で2度ばかり渡米し現在に至りました。新たな世界を見てみたいという「ど」田舎者の欲求は確かにあったと思っています。「愛媛で育ち、愛媛で学び、愛媛しか知らないものを井の中の蛙(かわず)というのです」と送り出してくれた当時の主任教授に、ただただ感謝です。

かつて寺山修司は、「書を捨てよ、街へ出よう」と自書で謳いました。皆さんの先輩の一人として、「書を持ち、留学しよう」と勧めたいと思います。日本で失われつつある、ギラギラした他国出身者の気概と論戦を交えることも良い経験になるはずです。海外の異なる環境で学び、グローバルな視点を持ち、愛媛と言わず日本を、いや世界をしょって立つ人材になることを目指してみませんか。

皆さんの健闘を期待しています。

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