未来の愛大生へ

2021.02.01
環境が変わってもブレない自分の軸を大切に

田上 瑠美 特定助教

●先端研究?学術推進機構 沿岸環境科学研究センター
●環境分析化学

 私たちの身の回りにある製品には数多くの化学物質が利用されており、私たちは快適さ、利便性など様々な恩恵を受けています。一方で、有害性を持つものもあり、その取扱いや管理の方法によっては、環境汚染や健康影響などの問題が生じる場合があります。私が所属する環境化学研究室では、化学物質の適正な利用と管理(より良い付き合い方)を目指して、化学物質の環境動態、生物移行残留性、ヒトの曝露実態と健康影響の解析など、化学物質のリスク管理に関わる研究活動を行っています。

 私は、高校生のときに、発展途上国の深刻な水質汚染や重金属汚染、また極域など遠隔地に棲息する野生生物にまで化学汚染が進行していることに衝撃を受けたことがきっかけとなり、「将来は、環境問題を解決する仕事に従事したい」と強く考えるようになりました。そして、化学が好きだったことから、環境科学?環境分析化学の世界に足を踏み入れることになりました。進路に悩んだとき、いつも思い出すのは「加害者と被害者が一致しない化学汚染をどうにかしたいと意気込んだその瞬間の気持ち」で、それが研究の方向性を含む進路決断の舵を取っています。また、壁にぶつかり気持ちが落ち込んだときは、その初心を思い出し、研究に対するモチベーションを維持しています。

 人生は選択の連続であり、未来の自分はこれから自分が下す選択の積み重ねによって生まれます。他人に任せず自分で選択することは本当に大事です。人生の岐路に立ったとき、おそらく決断に悩むと思いますが、「自分が本当にやりたいことは何か、何だったらずっと飽きずに頑張れるか、一つしか選べないとして譲れないものは何か、そして、なぜそれなのか」を自分自身に問いかけて、じっくり考えことをお勧めします。「自分のidentity」と「環境が変わってもブレないものは何か」を意識すると答えは自然と出てくると思います。

 もし、自分軸がまだ分からないのであれば、たくさんの経験を積んでください。新しいことにどんどん挑戦できるのは学生の特権なので(失敗しても修正可能なので)、頑なにならず、その特権を十分に有効活用してほしいです。経験は何よりも宝です。嬉しいことも、楽しいことも、辛いことも、悔しいことも、全て成長の糧になります。そして、その中で「環境が変わってもブレない自分の軸」が見つかることでしょう。

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