この授業は、工学部工学科のコンピュータ科学コースと応用情報工学コースの3年生以上を対象に開講されています。所属コースごとに内容が異なり、コンピュータ科学コースではセンシング?AI?画像処理などの技術を導入したシステムの開発を、応用情報工学コースでは、大学院理工学研究科の大学院生と共同でグループを作り、テーマに沿った課題に取り組みます。課題解決に向けた思考力や問題設定能力、情報工学に関する様々な知識、またグループ活動におけるコミュニケーション能力やリーダーシップ?メンバーシップの意識を養うことを目的にしています。

授業内容

今回はコンピュータ科学コースの授業を取材しました。授業開始10分ほど前に教室を訪れると、ゼミ室を兼ねた部屋には、9人の受講生がソファに座り、リラックスした状態で準備していました。その後、担当の先生方やTAの大学院生が集まり、和やかな空気のまま授業がスタートしました。

この授業では、受講生を3人ずつのグループに分け、地元企業から提供された課題の解決を目的としたシステム開発に取り組んでいます。この日は中間発表前の進捗報告会を兼ねているとのことで、3グループそれぞれから現状報告が行われました。

台本のない会話の自動文字起こし、AIを活用した文章作成や校正、文章の真偽判定システムなど、先行研究をもとに学生たちが試行錯誤しながら取り組んでいる内容が次々に発表されていきます。AIやプログラミングなど情報工学の知識に疎い立場からすると、何とも高度な内容を話しているように聞こえましたが、報告が終わると同時に先生たちからは鋭い指摘や今後の改善点が挙げられていました。その一つ一つを真剣に受け止めながら、受講生たちは取組の方向性を見直したり、更なる検証について計画したりしていました。今回の学生たちによる取組の成果は、今後、学会でも発表する予定とのことです。

足球即时比分_365体育直播¥球探网工学部では、足球即时比分_365体育直播¥球探网6年度より「デジタル情報人材育成特別プログラム」がスタートしています。本授業を受講することで、これからのデジタル社会において重要となる知識やスキルを、実践的な取組を通して学ぶことができると感じました。

教員からのコメント

学部共通PBLの授業では、チーム開発に取り組む中で、情報工学の知識と技術を用いた問題解決能力、チームワーク能力、コミュニケーション能力を育成します。コンピュータ科学コースに所属する受講生のうち、私が担当するチームでは、自然言語処理に関わるWebサービスの開発に取り組んでいます。地元企業等からご相談いただいた実課題に対して、学生主体で解決策を提案し、システムを実装します。例えばこれまで、機械翻訳、文書要約、文章校正、対話システムなどの開発に取り組んできました。

半年間という短い時間での取り組みですが、企業が持つ実課題に対する解決策の提案に挑戦するため、大きな成果が得られることも少なくありません。例えば今年度の取り組みも、愛媛新聞に掲載(https://www.ehime-np.co.jp/article/news202503120004)されたり学会発表をしたりと、良好な成果が得られました。今年度の取り組みは情報処理学会全国大会にて発表し、ありがたいことに、複数の班が学生奨励賞を受賞しました。本授業は、これまでの3年間で学んできた情報工学の知識と技術を活用する実践的な学びの場です。受講生には、モノづくりの楽しさを実感しつつ、専門性を磨いてもらえたらと思っています。

受講学生のコメント

工学部工学科コンピュータ科学コース 3年生 藤原 有希 さん

学部共通PBLでは、少人数チームで学生主体のシステム開発に取り組みます。週1回のミーティングで教員やTAの先輩と相談しながら進めるほか、オンラインツールを活用して、非同期の活動も行っています。私たちのチームはプログラミング言語のPythonを使い、AIによる作業自動化システムを開発中です。困難な場面もありますが、メンバーや教員のサポートを活かし、より良いシステムを目指しています。プログラミングだけでなく、チームワークや課題発見力も磨ける点がこの授業の魅力です。