この授業は、数ベクトル空間、線形写像、連立一次方程式、行列式についての具体的な演習問題を解くことで、これらについての理解をより確実なものにすることを目的としています。
授業内容
取材日の授業では、始めに、線形代数についてこれまで学習した内容の確認テストが行われました。学生たちは真剣に取り組み、終了後すぐに教員から解説がありました。
そして、これまでの授業で配布されていた演習問題にグループで取り組みました。演習問題は取り組む日が決められていますが、その日だけですべての問題が解けるわけではありません。学生たちは、グループ内のメンバーの助けを借りながら、残った問題を解いていきます。
この演習問題は、必修から発展まで難易度別に作られており、学生が各自の理解度に応じて取り組める状況を設けています。
教員や大学院生のティーチング?アシスタントは、学生たちが自分自身やグループでの学習を進められるように、サポート役に徹します。グループで相談したり、教員やティーチング?アシスタントから助言を受けながら、問題を解いていく学生の姿が見られました。
このグループワーク形式の授業は、学生同士がコミュニケーションを深める場ともなっており、学生たちの主体的な学習を促し、学習意欲の向上に繋がっているようです。
教員からのコメント
線形代数は、数学に限らず様々な理系科目の土台となる重要な科目です。非常に大雑把な説明をすれば、線形代数の「線形」とは「まっすぐな」という意味であり、「代数」は「方程式」を意味します。つまり、線形代数では、直線や平面など1次式で表される世界を数学的に抽象化した概念について学びます。例えば、よくわからない関数が与えられたとき、各点における接線を調べることでグラフの全体的な形状が分かりますよね。それと同じように、複雑な現象をまずは単純な世界で(近似的に)考えよう、という場合に線形代数は威力を発揮します。
この授業では、こちらが用意した線形代数の演習問題に対して、学生が自由にグループを組んで取り組みます。数学では一人で考えることももちろん大事ですが、グループのメンバーと議論を行うことで、より一層理解が深まることもしばしばです。授業中は、教室のあちらこちらから「違う違う!」や「分かった!」といった声が飛び交う、非常に活発な全員参加型の授業になっています。私たち教員は、学生の自主性を尊重し、彼らが勉強しやすい環境をいかにして作るか、ということを第一に考えます。
学生からのコメント
「線形代数演習」の授業は、講義形式ではなく、2~3人のグループで話し合いながら問題を解く時間になっています。普段の講義形式の授業では先生との距離も遠いので、とても質問がしやすいとは言えませんが、この授業では先生2人とTAの大学院生がいて、距離も近く質問がしやすい環境になっています。分からない問題以外にも、自分では採点しにくい証明問題などを先生に確認してもらうことで、実際の試験などできちんとした証明をすることができます。また、1人で問題を解いている時は一つのことに躓くとなかなか次に進めないのですが、この授業ではグループ内で教え合うことができるので、効率よく問題を解くことができます。逆に、グループ内で自分が教える側になった場合も、相手に分かりやすく伝えようと努力するので、その問題をより理解することができます。
この授業では、黙々と問題を解くのではなく、先生や院生、そして同じ学科の人とコミュニケーションをとりながら問題を解いているので、いつも楽しく取り組むことができています。
この教育活動は、教員の実績ハイライトにも掲載されています。
教員の実績ハイライトとは、教員の「教育活動」「研究活動」「社会的貢献」「管理?運営」ごとに、特色ある成果や業績を精選?抽出したもので、学内のみならず学外にも広く紹介することとしています。