この授業では、人口減少、超高齢社会化といった社会環境の変化を踏まえながら、地域社会の現状を把握するとともに、地域を維持?創造するために展開されている政策と実践例について幅広い知識を習得することを目指します。
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授業内容
授業の冒頭では、前回提出済みの中間レポートの講評が行われました。教員は、今学期のメインテーマである人口減少のほか、行政サービスの民間委託、コンパクトシティ、美と公共性という4つのレポート課題について、考えるポイントを説明していきます。
そして、日本農業の現状と課題について学んだ前回に続き、今回は、農業?農村の活性化について学びました。
まず、活性化の方向性について講義がありました。公共事業や企業誘致に期待する従来の方策だけでは、産業構造の変換や人口減少?高齢化、投資余力の低下などの問題に太刀打ちできません。 多様化する地域問題を前に、今必要なのは発想の転換です。必ずしも地域内の資源にこだわる必要は無く、地域内外の人材?技術?情報を組み合わせ、活かしていくことが重要なのです。
そこで、山梨県のNPO法人を取り上げた情報番組を視聴しました。このNPO法人は、企業と連携し、社員研修や顧客サービスの一環として、耕作放棄地の開墾を進める仕組みを構築しています。山梨県は耕作放棄地率が全国2位ですが、それをリソース(資源)ととらえ、近年高まるCSR(企業の社会的責任)という社会的なニーズ(需要)とうまく組み合わせることで、価値が創造された事例です。
視聴後、感想や事例の応用についてペアで話し合いました。「都市と地方の両方の状況を知っている人がいないと成功は無いのではないか」という意見や、「大企業との連携の成功事例を中小企業には適用できないと思う」という意見などが出されました。どのような切り口でアプローチすると活性化に繋がるのか、事例を基に多面的に考察することで思考の幅が広がったようです。
教員からのコメント
この授業は、法文学部人文学科の2年生以上を対象に開講しています。学期ごとに内容が変わるのですが、今学期は、人口減少社会における地域づくりを主たるテーマとしています。
今後、日本社会は史上初めての趨勢的な人口減少を経験します。これまで経験したことのない状態ですので、どのような問題が生じるのか分からない部分も多いのですが、重大な変化であることは間違いありません。そうした変化について、問題をとらえる視座?フレームワーク、都市部の課題?対応、農村部の課題?対応、という3つの領域に分けて講義を行っています。 授業では、知識のインプット(講義、新聞記事の解説、映像の視聴など)とアウトプット(ペアディスカッション、レポート作成など)を通じて理解を深めていきます。問題に対する答えを出すというよりは、問題そのものをどのようにとらえるか、問題の切り口をどのように見つけ出すかということを重視しています。
学生からのコメント
この授業では、私たちの生きる日本の地域が抱える様々な問題について、知ったり、考えたり、話し合ったりしています。
日本の地域が抱える問題として、一例として、人口減少が挙げられます。日本は少子高齢化社会であり、これからどんどん人口が減っていくため、公共のサービス等が維持できない自治体が出てくると言われています。授業では、私たちはまず、人口減少社会という現実を共有します。そして、その問題に立ち向かっている地域や人々の取組みについて学びます。それから、自分たちならその問題にいかにして向かい合うか、しっかりと考えます。
地域づくり論は、これからの日本の地域を担う我々一人ひとりが、当事者として地域の問題を一生懸命考えることができる授業です。