tanaka_sam この科目は、能動的な学習姿勢の醸成と将来の研究者?医学教育者の育成を目指しています。 

 

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授業内容

 田中教授の研究室には、現在、1年生から5年生までの多くの医学部医学科学生が所属し、がん研究をはじめ、麻酔科や脳神経外科などとタイアップした研究を進めています。水曜日?木曜日以外には決まった時間割は無く、学生は、他の授業やサークル、アルバイトなどの空き時間を見つけて研究室に出入りしています。

tanaka_1 「脳梗塞」をテーマにしている学生は、IL18というタンパク質が脳にどのような影響を与えているか、また、それを治療や薬作りに活かせるかなどを研究中です。
 学生は、実験ノートを片手に、ウェスタンブロッティングという手法で、タンパク質の発現量を調べる電気泳動の実験を行っていました。実験の手際の良さを尋ねると、「一度の傾向で結果は出ず、時間を置いて、何度も実験を繰り返す必要がある。先生や先輩に聞いたり、自分で調べたりしながら、実際に手を動かすことで習得することができた。」と話してくれました。
 そして、「1年の時からずっと同じテーマを続けているので、思うように成果が出なかったこともある。」と理想通りにはいかない現状をしっかりと見つめつつ、「そのうち論文を書きたい!」と高まる意欲を見せていました。

 tanaka_2また、この科目の大きな特徴は、学部1年生の時から学会で研究発表をする機会があるということです。
 学内外の学会に積極的に参加してきた学生は、最初の頃は質疑応答の際にうまく答えられなかったそうですが、「うまくいかなかったことで研究意欲がかき立てられ、能動的に研究に取り組むようになった。」と振り返りました。
 研究室内では、幅の広い年齢層の医学科生?医学専攻大学院生が、研究方法を教え合う姿が見られました。先輩との距離が近いので、研究姿勢や生活スタイルなど、将来の自分の姿をイメージしやすい環境であるといえます。

教員からのコメント

tanaka1 医科学研究は、医学科1年次では必修科目、2?4年次では選択科目として開講され、希望の研究室で研究活動に従事する科目です。他学部のゼミまたは卒業研究に相当する内容と思われますが、新入生の5月から始まるのが特徴です。この科目に関連して、1年次4月に研究室紹介を行う「フロンティア医学」と研究成果発表会である?医科学研究発表会?があります。これらを合わせ研究者育成教育とし、研究者育成委員会が管掌しています。

 「医科学研究」は次の3つを目的としています。
1.大学?研究室?教員への精神的距離を縮め、学習?生活指導を緊密に行うことでドロップアウト/孤立する学生の発生を防ぐ。
2.能動的な学習態度の醸成?「医学を教えるのではなく、医学を一生涯にわたって学ぶ方法を教える」教育科目。研究に関する倫理教育/英語力強化も含む。
3.将来の医学研究者?医学教育者?指導的医師の養成:比較的少数の熱心な学生を対象とする目標。

tanaka2 研究者「育成」教育とはいいながら、実は上記1、2のように、大学に慣れ親しみ、自ら学ぶ姿勢を育てることがより広い学生を対象とした目標になっています。その中で、特に意欲の高い学生は、主に正課外の時間帯で非常に高いレベルの研究に従事しています。その成果は、学会や論文を通じて公表をしており、全国の医学部?医科大学の中でも先進的な取り組みとして注目を集めています。私の研究室でも、学生だから、1年生だからというエクスキューズは一切なく、大学院生?教員と肩を並べ、神経疾患の治療法開発や脳のメカニズム解明に向け、各々が個別のテーマを持ち世界に通用する研究活動を行っています。なお、学生の学会出張旅費、研究費等については国からの支援を受けています。詳しくは、HP (–基礎GP 愛媛–で検索)をご覧下さい。

学生からのコメント

tanaka_stu 医科学研究は、学生自身が能動的に参加することで充実した時間となる科目です。
 まず、実験手技や実験の考え方を先生方や先輩方に教えてもらうことから始まります。そして、他の講義で得た知識を応用して、実験結果を考察したり今後の展望を考えたりすることができるようになります。また、学内や学外での学会にも参加できます。このような経験をして、より深く学びたい、また誰も知らないことを発見したいという意欲がわき、さらに積極的に実験に取り組むようになりました。
 基礎研究や臨床研究は、医学の進歩に欠かせないものです。学生のうちから研究に触れられる貴重な時間を学生一人ひとりが有意義なものにできるといいと思います。

この教育活動は、教員の実績ハイライトにも掲載されています。

 教員の実績ハイライトとは、教員の「教育活動」「研究活動」「社会的貢献」「管理?運営」ごとに、特色ある成果や業績を精選?抽出したもので、学内のみならず学外にも広く紹介することとしています。