この授業は、「オトナ」になるための基礎的な学びとして、社会を形成、維持していくために不可欠な資質?能力である「社会力」を習得することを目指したキャリア教育です。
授業内容
この授業は、オムニバス形式で行われています。取材日の授業は、「労働と社会」というテーマで進められ、将来学生が必ず直面するであろう就職について焦点が当てられました。
授業の冒頭、「職を選ぶことの重要性」が強調されました。将来の仕事にやりがいを感じるために、現在なりたい職業ややりたい仕事を具体的に持ち、たとえ挫折し劣等感を感じたとしても、それを希望をかなえる源泉とし、希望を持つ力を身につけ、「将来」どうなりたいか?を描くことの重要性が解説されました。
次に、就職の社会的背景について、学生の「質」よりも「量」を優先していた1980年代の採用基準から一転、現在は「量」よりも「質」の厳選採用をしている企業が圧倒的多数であるとの説明がありました。そして、教員は、雇用ミスマッチの問題として、現在の若者が学校を卒業後3年で退職する確率を表した「七?五?三現象(中学卒7割?高校卒5割?大学卒3割)」を取り上げ、3年で退職後、正職員として就職できなかった場合、非正規雇用という働き方は経済的に不利となるため、現実をしっかり受け止め、自分のキャリア形成を進めていく必要があると力説しました。
最後に、企業等が採用時に重視する項目について、新規採用の場合は「熱意?意欲」、中途採用の場合は「経験」を重視しているが、勤続年数3年では経験に当たらない傾向があるとの説明がありました。学生は、大学を卒業するとき、職業経験や資格を重視されることはないが、今後どうしていきたいかをこれまでの経験からどのように語るか、熱意?意欲をもって語れるかが重要であることを学びました。
この社会力入門の授業では、最終的に、キャリア教育や正課外教育などからの学びが、自分のキャリア形成にどのように役に立っていくかを記述する「学修ポートフォリオ(キャリア?ポートフォリオ)」を作成します。学生には学修ポートフォリオの作成を通して、自らのキャリア形成のプロセスと大学での学びとの関係を理解し、今後の目標や具体的な学習計画を立てていくことが期待されます。
教員からのコメント
産業界のニーズに対応した人材育成、生涯を通じた持続的な就業力の育成、豊かな人間形成と人生設計に資することを目的に共通教育において全学生必修の「社会力入門」が開講されています。「社会力入門」は、大人としての資質を育成するための科目であり、これまでの受験勉強や家庭では十分に学べなかった問題(例えば、社会とルール、モラルとマナー、人間関係の問題など)について成人を迎える時期(成人移行期)に自らの問題として深く思考する機会として設定されています。
特に「社会力入門」では、学修ポートフォリオ(キャリアポートフォリオ)の作成を通して、学びを自己管理する能力の育成に取り組んでいます。ポートフォリオは学びの経験を統合し、将来設計につなげるための教育ツールであり、授業終了後も在学中、継続的に活用がなされるものとして期待されています。
学生からのコメント
(写真左:池田さん)
「社会力入門」を受講して、大学生となった今、社会に必要な資質や能力とは何かということを学びました。この講義では、就職や社会でのルール、人間関係など私たちの将来につながる事柄について幅広くカリキュラムが組まれています。
また、講義のまとめとして、キャリア形成の指針となる学修ポートフォリオを作成することで、自分自身の学びを振り返り今後の目標を立てることができました。自分自身を見つめ直す良い機会になったと思います。
(写真右:福壽さん)
この講義を通して、愛大生として何をどのように身につけていくべきかを学びました。入学時に教わる「愛大学生コンピテンシー(学生が卒業時に身に付けていることが期待される能力)」についても、自分の学生生活を振り返りながら詳しく学習できます。
また、学生生活において避けられない「お酒との付き合い方」や、これから社会に出ていく上で必要な「人間関係」についても、専門的な立場から教えてくれます。オムニバス形式で講義内容が毎回変わるので、楽しく学ぶことができました。
この教育活動は、教員の実績ハイライトにも掲載されています。
教員の実績ハイライトとは、教員の「教育活動」「研究活動」「社会的貢献」「管理?運営」ごとに、特色ある成果や業績を精選?抽出したもので、学内のみならず学外にも広く紹介することとしています。