チャレンジングなプロジェクトに没頭することで質の高い学習経験を得ることができる

研究の概要

私が取り組んでいるのは、効果的?効率的?魅力的な教育を設計?実践することで、学生が自ら考え、行動することを促し、主体的な学習者を育成することを目的とした研究です。この研究では、座学ではなく、仲間とともに実社会をフィールドとしたプロジェクトに取り組み、その経験から主体的に学ぶ姿勢やコミュニケーション力、リーダーシップを学ぶPBL(Project Based Learning)型授業の実践を行っています。この授業は、学生にとってチャレンジングな目標を設定し、どのようにプロジェクトを成功させるのか、その方法を自ら考え、実現に向けて没頭し、仲間とともに全力で取り組む経験を大切にしています。なぜなら、表面的な経験から得られる学びには自分を成長させるほどのインパクトは望めず、失敗しながらもチャレンジする中でしか気づけないことがあるからです。このような深みのある経験は、「美学的経験」ともいい、学習経験として質の高いものであるとされています。そして、質の高い学習経験は、困難な場面に遭遇した場合にもやり抜く強さや自信を与えてくれます。

研究の特色

学生が自分の力で、美学的経験を生み出すことができるようにするには、どのような仕掛けをするとよいかを教えてくれる原理があります。それが、「ID美学第一原理」です。IDとは、インストラクショナルデザイン(Instructional Design:人材開発?教育設計)の略です。

この研究では、実践として、足球即时比分_365体育直播¥球探网の準正課教育という枠組みの中で「環四国サイクリングプロジェクト」、「関係人口増加プロジェクト」、「SDGsビーチクリーンプロジェクト」など地域社会における課題解決につながるプロジェクトに取り組んでいます。いずれも、学生が主体的に企画?運営を進め、地域の方や企業、地方自治体と連携した活動を行います。活動にあたっては、教員が教育的意図に基づいて関与?支援します。なぜこのような学生の主体性を重視しているのかについては、美学的経験が、学習者要因と環境要因によって押し上げられる「図1 経験レベルを左右する要因」によって説明されます。特に、山の右にある学習者要因に着目すると、「意図」(学びたい)、「プレゼンス」(学ぶ必要がある)、「開放性」(変化を恐れない)、「信頼感」(可能性を信じる)が書かれています。このような主体的に学ぶ姿勢をもってプロジェクトに取り組むことで、山の頂上である「楽しく忘れがたい美学的な経験」を得ることができるとされています。

研究の魅力

この研究は、プロジェクトで取り上げた課題に取り組むことを通じて、学生がどのような経験から自身の変化を実感し、成長につながっているのかを実証し、美学的経験をもたらすための教育方法を明らかにできることが魅力です。また、現実に起きている社会的課題をテーマとしているため、社会貢献にもつながり、かつ学生が主体となって活動するため、地域社会からのフィードバックを学生が直接受け取れる点が実践上の魅力となります。

今後の展望

PBL型授業において、プロジェクトの構成や難易度、活動の種類によって学生の学習経験の質がどのように影響されるのかを明らかにすることにより、学習効果の違いが明確になるといえます。そうすることで、学生が高めたいと望む力に合わせたプロジェクトを選択できたり、自分が得意な分野をさらに伸ばすためのプロジェクトを発見したりすることができるようになります。このような教育プログラムの構築により、さらに効果的?効率的?魅力的なPBL型授業の実現を目指しています。

この研究を志望する方へのメッセージ

地域をフィールドにしたプロジェクト活動を通じて、実社会で活躍できる人材を育成する実践的教育研究に関心のある方、より効果的な人材育成について一緒に考えてみませんか?