地域社会のあり方を考える
※掲載内容は執筆当時のものです。
少子高齢化と過疎化の進行の中で地域社会の活性化を愛媛で
個人の研究として継続して続けているのは、家族に関する法律問題や政策問題についての研究です。特に、法律上の婚姻の成立に関する問題と遺産分割や祭祀財産の承継に関する問題についての研究成果は、それぞれ『婚姻成立過程の研究』と『遺産分割の周辺問題』の著書にまとめています。
ここでは、地域創成研究センターの教員としての研究について紹介します。地域創成研究センターでは、愛媛および四国を中心とした社会?経済?行政?歴史?文化に関する共同研究を進めています。これまでのセンターの研究の成果は、『四国のかたちを考える』、『近代愛媛の新群像』、『地域文化のアクチュアリティ』、『えひめ知の創造』、『ぎょしょく教育』などの著書としてまとめているほか、毎年センターが刊行している「地域創成研究年報」に掲載されていますので、参照していただけると幸いです。
センター長として、地方の少子高齢化問題、地域福祉問題、市町村合併や道州制の問題、過疎地域問題など、主に地域社会についての研究を進めています。国や地方自治体の財政状況が厳しさを増し、少子高齢化が進行する中で、地方分権と行政の効率性を求める動きが強まり、地方が抱えているさまざまな問題への対処を地域住民の主体的な活動に委ねる傾向が強まり、地方の自治体や住民の力を活用して、地域社会やコミュニティを築いていくことが求められるようになっています。今、住民や地方自治体はどのような地域社会をつくるべきかが問われています。そのような中で、愛媛県の各地を素材にして、地域の自治体や社会が抱えている問題を明らかにし、住民と行政がより良いパートナーシップを形成し、より良い地域社会を築いていくために必要なことを明らかにしようと研究に取り組んでいます。具体的には、少子化や高齢化が進み、福祉の契約化が主流になっている現状を踏まえ、「地域の住民相互の扶助システムや行政のサポートシステムのあり方を検討する研究」、愛媛県各地域の現状を踏まえながら、「市町村合併や道州制の展望に関する研究」、国の過疎地域対策を検証し、愛媛県内の過疎集落の現地調査を進め、「今後の集落のあり方を住民主体のコミュニティ形成という観点から検証しようとする研究」などです。
研究の特色
愛媛県も少子高齢化の進行や自治体の累積赤字問題など多くの問題を抱えています。東京一極集中や地域格差問題が注目を集める中で、住民や自治体が協力して地方の良さを引き出すために進めているさまざまな取組みを調査?検証し、今後の地域社会の活性化策を検討していくことで、地域の大学としての役割を果たすべく研究を進めています。
研究の魅力
地域社会の特徴はそれぞれに異なっており、各地域の特徴や資源を活かした取組みや活動を考えていかなければなりません。それぞれの地域の良さや特徴は本当にその場所に行き、そこで暮らす住民の生活を知って初めて分かることです。地域を研究することの魅力は人々の日常的な暮らしに触れ、人に触れることができるということです。?
研究の展望
少子高齢化対策や地域格差問題対策など、国家財政の現状と地方分権の流れの中で、国だけでは解決できない問題について、地域住民や地方の自治体職員?地方自治体などが協働して取り組んでいく風土を地方に定着させることが求められています。そのために、地域にある大学が果たすべき役割も大きいはずです。地域社会を良くしていくための方策の構築について、産官民学の協働が期待されています。
この研究を志望する方へ
人はどこかの地域の中で人と触れ合いながら生活しています。誰でも自分の暮らす地域社会について思いを抱いているはずです。自分の暮らす地域を少しでも住みやすい「まち」にしたいと考えている人を今地方は求め、待っています。