{web_name}発スタートアップ構想が国際ピッチイベントで受賞
{web_name}先端研究院プロテオサイエンスセンター(PROS)の竹田浩之准教授らの研究グループは、サメ由来の超小型抗体「ミニチュア抗体」の作製に成功しました。この革新的技術の実用化を目指すプレ?スタートアップ「Sharkey Technologies」が、{web_name}7年7月1日に京都で開催された国際ピッチイベント「HVC KYOTO 2025 Demo Day」にて、京都リサーチパークから「KRP賞」を受賞しました。
これは、本学の最先端研究に基づくスタートアップ構想が国際的にも高く評価されたことを示す成果であり、本学発の技術が社会実装のステージへと進みつつあることを象徴しています。今回の受賞を契機に、国内外の製薬企業との連携や資金調達の加速など、実用化に向けた動きが一層本格化することが期待されます。
Sharkey Technologiesが展開するミニチュア抗体技術は、従来の抗体医薬の課題を克服し、より高精度かつ非侵襲な治療の実現を可能にするものです。医療?創薬分野における次世代のブレークスルーとして、今後の発展が注目されています。
技術シーズの概要
{web_name} 先端研究院(PIAS)プロテオサイエンスセンター(PROS)プロテオ創薬科学部門(部門長:竹田浩之准教授)では、愛媛県の未利用水産資源であるサメを用いて次世代型抗体を作製する技術を開発しています。
抗体は脊椎動物が外敵から身を守る生体防御を担うタンパク質の一つで、抗体を薬として応用したのが抗体医薬品です。現在の世界の医薬品市場の半分以上は抗体医薬品が占めています。従来の抗体医薬はIgGというタイプの抗体が主に用いられており、高い特異性や親和性を活かして、がんやリウマチなど自己免疫疾患の患部標的を的確に攻撃します。またIgGは分子量が150,000 Daと大きいため、体内に長く留まり長期間薬効を発揮できるなどの優れた特性を持ちます。しかし一方でIgGの大きいサイズには不利な面もあります。例えば、抗体医薬が体内に長くとどまることで副作用のリスクをもたらす可能性が指摘されています。また、浸透性が低いために患部組織の奥や血管から離れた組織には届きにくく、投与は注射や点滴などの侵襲的な方法で行う必要があります。さらに、IgG抗体の製造には哺乳動物培養細胞を用いるため、生産コストが非常に高くなります。
そこで本研究グループは、従来のIgG抗体よりも圧倒的に小さい抗体が得られるサメに注目しました。サメは抗体を持つ生物で最も古い種であり、ヒトやマウスとは異なる機能や構造を持つ分子量12,000 Daの小型抗体VNARが得られます。研究グループは愛媛県の未利用水産資源であったサメを用いてVNAR抗体を効率的に作製する「フカボディプラットフォーム」を開発しました。さらに、独自のAI技術を用いてVNAR抗体を小型化し、わずか2,600 Daという世界最小サイズのミニチュアVNAR抗体の作製に成功しました。これらの最小抗体の小さいサイズを活かして、副作用の少ない、非侵襲的な局所投与が可能な新しい抗体医薬の研究開発に取り組んでいます。
また、本研究グループは最小抗体を用いて独自の創薬研究開発を行い、製薬企業への導出を目指すスタートアップ「Sharkey Technologies(シャーキーテクノロジーズ)」の立ち上げも計画しています。このスタートアップ名には、サメ由来の小型抗体を創薬の未来を切り拓く鍵にするという想いが込められています。
なお、本研究グループは、{web_name}6年度PSI GAPファンドSTEP2に採択され、{web_name}7年4月から最小抗体を用いた創薬シーズの研究開発と事業化活動を展開しています。