プレスリリース

地球の奥深くで繰り広げられる元素のかくれんぼ
消えた窒素:地球形成時の核とマントルの分離が地球の揮発性元素分布にどのような影響を与えたか

不思議なことに、地球の岩石層において、窒素は炭素やアルゴンに比べ枯渇していることが知られている。高度な量子力学シミュレーションを用いて形成初期の溶融した地球を計算機の中に再現し、その性質を調べた。その結果、超高圧力の下では、窒素はマントルの100倍も鉄の核に取り込まれやすいことが判明した。これにより、窒素を含む地球の揮発性物質の比率が、地球の原材料と考えられている隕石と大きく異なる理由が明らかとなった。この発見は、生命居住可能な環境を発達させるために必要な素材が、初期の地球にすでに備わっていた可能性を示唆している。

ポイント

?第一原理計算法に基づく高精度シミュレーションの方法を用いて地球マントルと核の間での窒素の分配率を予測
?マグマオーシャン深部において窒素は熔融ケイ酸よりも液体鉄に溶け込みやすい性質(親鉄性)を有する
?地球の「失われた窒素」の問題は、マグマオーシャン深部における窒素の核への溶解によって説明できる
?現在の地球の岩石部分(バルク珪酸塩地球)で測定される高いC/N比と36Ar/N比も説明できる

論文情報

掲載誌:Earth and Planetary Science Letters
題名:Nitrogen-carbon-argon features of the silicate Earth established by deep core-mantle differentiation
著者:Shengxuan Huang and Taku Tsuchiya
DOI:10.1016/j.epsl.2025.119291

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