プレスリリース

ニッケル酸ビスマスの圧力誘起電荷非晶質化を発見
熱膨張問題を解決する新たな負熱膨張材料の開発に期待

足球即时比分_365体育直播¥球探网地球深部ダイナミクス研究センターの石松直樹教授は、東京科学大学の東正樹教授らの研究グループに参画し、Bi3+0.5Bi5+0.5Ni2+O3という電荷分布を持つペロブスカイト型酸化物ニッケル酸ビスマス(BiNiO3)を低温で加圧すると、電荷非晶質(電荷グラス。Biイオンの並び方に秩序がなくなり、ランダムに存在する)状態になる、特異な温度圧力変化を示すことを明らかにしました。
ペロブスカイト酸化物は強誘電性や圧電性などの多彩な機能を持つことが注目されています。その一種であるBiNiO3は、高温?高圧環境で相転移し、負熱膨張をすることが知られており、低温?高圧環境でも新たな電子相が出現すると予想されていました。
本研究では、BiNiO3を250 K以下の低温で圧縮すると、Bi3+とBi5+の秩序配列が消失して電荷グラス状態になり、さらにこの電荷グラス相を昇温すると負熱膨張することが明らかになりました。BiNiO3のNiを一部Feで置換したBiNi1-xFexO3は負熱膨張材料として活用されています。今回の電荷グラス相でも同じような負熱膨張が確認されたことから、新しい負熱膨張材料の開発が期待されます。
本研究成果は、3月5日付の「Nature Communications」に掲載されました。

BiNiO3の高圧?低温でのBi3+/Bi5+電荷グラス転移と、高圧?高温での負熱膨張を伴うBi-Ni間電荷移動のイメージ

研究のポイント

?ペロブスカイト型酸化物ニッケル酸ビスマスの特異な温度圧力変化を解明
?低温で加圧すると、Bi3+とBi5+の秩序配列が消失し、非晶質化することを発見
?温めると縮む、新しい負熱膨張材料の開発につながると期待

論文情報

掲載誌:Nature Communications
タイトル:Pressure-Induced Charge Amorphisation in BiNiO3
著者: Wei-tin Chen, Takumi Nishikubo, Yuki Sakai, Hena Das, Masayuki Fukuda, Zhao Pan, Naoki Ishimatsu, Masaichiro Mizumaki, Naomi Kawamura, Saori I. Kawaguchi, Olga Smirnova, Mathew G. Tucker, Tetsu Watanuki, Akihiko Machida, ShigehiroTakajo, Yoshiya Uwatoko, Yuichi Shimakawa, Mikio Takano, Masaki Azuma* and J. Paul Attfield*
DOI:10.1038/s41467-025-57247-1

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石松 直樹