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プレスリリース

河川のマイクロプラスチック汚染を十分な精度で調査できるサンプリング回数を決定する方法を提案

現場サンプリングのコスト抑制に貢献

研究の要旨とポイント

  • 淡水環境におけるマイクロプラスチックの分布が完全にランダムな過程に従うことを突き止め、さらに、現場サンプリングで必要となるサンプリング回数を決定する方法を提案しました。
  • この手法により、適切なサンプリング回数を、汚染状況に応じて誰でも設定できます。
  • 本手法を応用することで、マイクロプラスチックの流出量調査にかかる人的?時間的?金銭的コストを削減できると期待されます。

近年、マイクロプラスチック*1による河川や海洋の汚染が問題になっています。マイクロプラスチックは河川によって陸地から海へと運ばれるため、河川の汚染状況の実態を、まずは把握する必要があります。しかし、淡水環境における現場サンプリングの手法はまだ確立されていません。特にマイクロプラスチック濃度の調査において、サンプルごとの誤差を防ぐために何回サンプリングを行えばよいかを知る手立てがありませんでした。

東京理科大学理工学部土木工学科の田中衛ポストドクトラル研究員、同大学理工学部 土木工学科水理研究室 二瓶 泰雄 教授、足球即时比分_365体育直播¥球探网 大学院 理工学研究科 生産環境工学専攻 片岡 智哉 准教授の研究グループは、マイクロプラスチックの濃度は純粋にランダムな過程に従って分散することを突き止め、さらに、マイクロプラスチックの現場サンプリングにおいて、汚染状況に応じた適切な反復回数を決定する方法を提案しました。

この手法を用いることで、現場サンプリングにおいて十分な精度を実現する回数を決定できるようになりました。1立方メートルあたり3粒子以上の高濃度条件では、2回のサンプリングの平均値をとることで誤差30%以下の十分な精度が保たれると統計的に示されました。

本手法によって現場サンプリングを必要以上に反復する無駄を省くことができ、現在官学が主体となって行っているマイクロプラスチック調査にかかる時間的?人的?金銭的コストを削減できると期待されます。

本研究成果は、2022年8月4日に国際学術誌「Environmental Pollution」にオンライン掲載されました。

研究の背景

研究グループは、マイクロプラスチックの現場サンプリング方法は科学的な根拠に則っているかという疑問から研究をスタートさせました。淡水の現場サンプリングでは、マイクロプラスチック粒子が多く分布する部分を採取するか、少なく分布する部分を採取するかによって大きな誤差が生じます。誤差を最小限に抑えるために、調査ではサンプルの採取を複数回行います。しかし、何回サンプルの採取を行えば求められる精度を保証できるのかは明らかになっておらず、回数決定のために、誰もが使うことのできる画一的な基準はありませんでした。

そこで本研究では、まず、マイクロプラスチック濃度の標本間分散が濃度推定値の平均値に比例するという仮説を検証しました。次に、得られた分散と平均の関係に基づいて、サンプリングの反復回数を決定する統計モデルを構築しました。

研究結果の詳細

本研究ではマイクロプラスチックの濃度を1立方メートルあたりの粒子数としました。調査は、プランクトンネットを用いて、大堀川と、東京理科大学野田キャンパスの目の前を流れる利根運河で行いました。日本の都市河川であるこの2河川において、マイクロプラスチック濃度の標本間分散を精査したところ、分散は濃度の推定値の平均値に比例しており、観察された分散と平均の関係は、両地点のデータを組み合わせた単純な線形回帰で十分