独立行政法人国立科学博物館(館長:篠田謙一)の佐野貴司(地学研究部鉱物科学研究グループ)らは、ミャンマー中央部のポパ火山が、約33万年前から活動を開始した活火山であることを明らかにしました。さらに、成層火山をつくる溶岩は、「アダカイト質」という特殊な火山岩であることを発見しました。そして、現在も生産されているマグマ生成メカニズムを世界で初めて明らかにし、今後も噴火する可能性が高い活火山であることを示しました。本研究成果は2022年2月24日に国際科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。
研究のポイント
- ミャンマーで最大の火山体であるポパ山の地質調査と年代測定を行い、これを基に詳細な活動史を明らかにした。
- 主要な溶岩について記載と化学分析を行った結果、「アダカイト質」という特殊な火山岩であることが判明した。
- 世界の学会では、アダカイトは地下深部へ沈み込んだ海洋プレートが融けたものと提案されているが、これとは違うメカニズムによりマグマが生成したことが分かった。
- ポパ火山のアダカイト質マグマは、水を含んだマントルが融けてできたマグマが、その後地下深部のマグマ溜まり内で分化(地下でマグマの温度が低下して化学成分や粘性などの性質が変化すること)してできたと考えられる。
- ポパ火山の地下深部では、現在もアダカイト質マグマが生産されており、今後も噴火する可能性が高いことが分かった。
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