2019年3月17日に、兵庫県神戸市で開催された第66回日本生態学会大会において、理学部生物学科3年生(受賞当時)の植村洋亮さんが、ポスター賞優秀賞を受賞しました。受賞した講演題目は「コイ目タナゴ亜科における希少在来種と人為移入種との交雑と引き起こされた遺伝子浸透」です。
植村さんは、1年生の12月から理学部生物学科生態学研究室の畑啓生准教授の指導のもと、地域の生態系を守る、ひいては地球の生物多様性を守るために、愛媛県松山平野の河川で、二枚貝の鰓に卵を産むという興味深い生態を持つタナゴ類(コイ目コイ科)について研究をすすめてきました。採集したタナゴ類の遺伝子配列を調べることで、愛媛県松山平野の希少なヤリタナゴが、国内外来種として人為的にもたらされたアブラボテと交雑し、ヤリタナゴの個体群が存続の危機にあることを明らかにしました。さらに雑固体の形態はばらついて、河川の様々な環境で生息でき、在来のヤリタナゴと資源を巡って競合して、ますますヤリタナゴを絶滅の危機に追いやっていることがわかりました。この研究は、地域から生物多様性がどのような危機にあって、それを守るためにわたしたちに何ができるかを問う研究です。
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