平成20年4月14日(月)、農学部において、平成20年度足球即时比分_365体育直播¥球探网大学院連合農学研究科入学式を行い、構成大学である香川、高知、足球即时比分_365体育直播¥球探网のそれぞれに所属することとなる大学院学生20人が入学しました。
式では、小松正幸学長が「博士課程の大学院生として、自立した研究者として成長すること、社会の各層に対して研究の指導を行うことができる能力を養うことが皆さんには求められており、この入学を機に、新たな課題に果敢に挑戦し、学術の世界に貢献してほしい。」と式辞を述べ、これを受け、入学生代表田中 靖さんが、「それぞれが行う研究の意義について常に考え、新たな可能性を追求し、日々努力したい。」と宣誓しました。
広報室
?足球即时比分_365体育直播¥球探网大学院連合農学研究科入学式 式辞
皆さん、入学おめでとうございます。連合農学研究科の構成大学の農学研究科長、足球即时比分_365体育直播¥球探网の各部長とともに、本日入学された20名の皆さんに、心からお祝いを申し上げます。
これまで皆さんを支えてこられたご家族、ご関係の皆様のお慶びもひとしおのことと拝察いたします。皆様方のご列席に感謝申し上げますとともに、お祝いを申し上げます。
皆さんの中には、社会人として活躍しながら、大学院での研鑚を志して入学された方々や、海外から生活環境や文化の違うわが国で、学び研究することを志した留学生の方々がおられます。これらの方々は学業以外にも多くのご苦労があることと思いますが、困難をいとわず学問に挑む、皆さんの高い志をたたえるとともに、試練を乗り越えて、所期の目的?目標を成就されますよう願っております。
連合農学研究科において皆さんは博士課程の大学院生として、自立した研究者として成長すること、社会の各層に対して研究の指導を行うことができる能力を養うことが求められます。自立した研究者には、鋭い問題意識をもち、自分で先端的研究テーマを設定し、それを研究する方法や手段を開発することができる能力を備えていることが必要です。それと同時に、他人を理解し、自分の意見を理解させる能力や、人を組織しリードする指導力が求められます。それを保証するのは学問の現場に即した実践的な経験です。そしてそのために、あらゆる努力を傾注する強い意志をもつことです。皆さんが、博士課程への入学を機に、新たな課題に果敢に挑戦し、学術の世界に貢献していただきたいと思います。
学術研究は日々新しい発見や知識をもたらせ、それを応用、あるいは活用することによって私たちの生活を豊かにし、社会を発展させてきました。科学技術はとくに現代社会を支え、発展させるために不可欠の要素となっています。そのため、ご承知のように、わが国では科学技術創造立国を国是とし、科学技術の振興に国家が責任を負うことを基本として「科学技術基本法」という法律がつくられております。
この基本法に基づいて、5年ごとに科学技術基本計画が策定され、現在は平成18年から22年度を対象にした第3期目にありますが、10年先を見通した当面する5年間の目標を決めて、毎年主要な国家プロジェクトが実施されております。注目されるのは第3期の基本姿勢として、社会?国民に支持され、成果を還元すること、人材育成と競争的環境の重視を基本姿勢としていることであります。
このように、わが国は、国力の源泉として、また、人類の未来を切り開く知の想像、そして、国民の健康と安全を守ることを目標に、国を挙げて科学技術?学術の振興と人材の育成を重点施策としていますが、その中心を担うのは大学であります。私たちは地域に根ざし世界に発信する学術の創生とともに、次代を担う研究者の養成を使命としているところですから、大学の責任は大変重いといわなければなりません。
このようなことを念頭におきながら、これからの科学技術あるいは学術の在り方、あるいは大学の役割を考えてみたいと思います。
先に述べた科学技術基本法、基本計画の中では、20世紀において科学技術の進歩は豊かで便利な生活や長寿社会をもたらせたが、同時に社会や地球環境に負の影響をもたらせた、という総括の上に立って、人口問題、水?食料?エネルギー資源問題や、温暖化、廃棄物などの地球環境問題を克服するにも科学技術の力が必要であるし、科学技術は社会の持続的発展の牽引車、人類の未来を切りひらく力であると謳っています。
私たちは、もちろん、この基本的な見方に対しては同じような立場に立っておりますが、科学技術によって何でも解決できる、という考えには誰しもが疑問をもたざるをえないでしょう。その点については、科学技術の人間や社会との関係、科学技術のプラス、マイナス両面を総合的、俯瞰的にとらえることが必要であり、また、政治的、経済的な動向やグローバル化の急速な進展がもたらす問題について、深い洞察の上に立った長期的対応がなければならないでしょう。
とくに、最近、中東情勢の悪化を背景に、世界的な投機の対象とされた原油市場における急激な高騰や、BRICs(ブリックス)などの新興国の驚異的な経済発展の結果起った原材料や食糧の異常な高騰、さらにはCO2排出量の急激な増加がもたらす温暖化の進行は、人類世界に大きな不安と混乱をもたらせていると思います。このような急速に変化する世界情勢の中で、図らずもわが国の脆弱な経済基盤、指導原理なき政治体質が露呈し、国民生活に大きな陰を落とし始めております。とくに、地方の疲弊、中央と地方の格差拡大は著しく、国の将来を危うくする要因となっております。
この点に関しては、科学技術基本計画の中に「地域の大学の活性化を通じた地域再生」を科学技術システム改革の一環として打ち出されておりましたが、地方の低迷、地域格差の拡大が一層進行する中で、昨年末には総合科学技術会議によって「科学技術による地域活性化」の提言がなされていることに私たちは注目し、その実行を期待しております。
地方国立大学の存在意義は端的に申しまして地方の発展、地方のための人材育成にあります。地方大学の学術研究の成果は主として地域に還元されなければならないと思います。もちろん、学術や科学技術は普遍的であり、地域に閉じたものがあるわけではありませんし、すぐに活用できるものは極めて少ないのが実情ですが、その成果としての応用は地域の産業や政策、町づくりや文化の創造に向けられるべきです。そしてまた、皆さんのような若い研究者が地域の発展、地方再生のために、地方の企業や研究機関で活躍していただきたいと願っております。
私たちは、皆さんの新鮮な問題提起や具体的な提案に対しては常に謙虚に耳を傾けたいと思っております。新しい世紀には建設的で具体的な提言こそが必要であります。その意味で、皆さんのこれからの知的活動が今後の我が国の将来、ひいては人類社会の行方を決めると言っても過言ではないでしょう。
連合農学研究科に入学された皆さんの、研究者としての更なる飛躍を祈念し、式辞といたします。
平成20年4月14日
足球即时比分_365体育直播¥球探网長 小 松 正 幸