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大学院理工学研究科生産環境工学専攻松浦一雄准教授が日本流体力学会2016年度竜門賞を受賞しました

 大学院理工学研究科生産環境工学専攻松浦一雄准教授が、日本流体力学会2016年度竜門賞を受賞しました。 「竜門賞」は、流体力学の発展に寄与し、独創性と将来性に富むと認められる40歳未満の個人に授与されるものです。
 松浦准教授はこれまで、圧縮性遷移翼列流れやホールトーン系に関するスーパーコンピューティングおよび実験による研究を通して、空力自励音の発振機構の解明とその無秩序化に関する研究を行ってきました。
 前者の研究では、境界層遷移に関する形態の違いを予測しうる圧縮性遷移翼列流れのラージエディシミュレーション解析を世界で初めて発表し、この分野の世界的な研究動向をリードしてきました。
 また、境界層遷移を伴う翼列流れにおいて、フィードバック現象の機構解明とその消滅に関する予測を実現し、翼列流れに限らず不明瞭であったフィードバック機構が消滅する際の遷移経路を明確化しました。
 後者の研究では、スロットリング機構と名付けた、低マッハ数におけるホールトーン?フィードバック系の新たな自励発振機構を解明しました。ホールトーン現象の直接シミュレーションを世界で初めて確立し、その卓越周波数を高精度予測することおよび流れ場や圧力波の発生?伝播の詳細挙動を解明することに成功しました。
 さらにホールトーンを低減する画期的な制御法を提案し、渦構造を伴い音の発生に関与する流れの無秩序化およびそれに有効な条件を数値計算と実験により解明しました。
 今回の受賞は、空力自励音を対象に、流れの安定性、乱流や空力音響学に跨る業績が高く評価されたことによるものです。

受賞対象論文:

(a) Kazuo Matsuura and Chisachi Kato, Large-Eddy Simulation of Compressible Transitional Flows in a Low-Pressure Turbine Cascade, AIAA Journal, Vol. 45, No. 2, pp. 442-457(2007).

(b) Kazuo Matsuura and Masami Nakano, A Throttling Mechanism Sustaining a Hole Tone Feedback System at Very Low Mach Numbers, Journal of Fluid Mechanics, Vol. 710, pp. 569-605(2012).

(c) Kazuo Matsuura and Masami Nakano, Disorganization of a Hole Tone Feedback Loop by an Axisymmetric Obstacle on a Downstream End Plate, Journal of Fluid Mechanics, Vol. 757, pp. 908-942(2014).

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