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戦略的創造研究推進事業に本学の2人の教員が採択

 大型の競争的研究資金である戦略的創造研究推進事業のチーム型研究(CREST)と個人型研究(さきがけ)に本学の2人の教員が採択されました。

 本学の教員が、今年度の戦略的創造研究推進事業に新規採択となり、大学との委託研究契約も締結され、平成22年10月1日(金)から研究を開始しました。「CREST」に採択された教員は、大学院理工学研究科の山田容子准教授で、「さきがけ」に採択されたのは、無細胞生命科学工学研究センター杉浦美羽准教授です。
 戦略的創造研究推進事業とは、国の政策目標実現に向けて目的基礎研究をトップダウン型に推進する科学技術振興機構(JST)の事業で、産業や社会に役立つ技術シーズの創出を目的としています。研究の担い手は、大学、公的研究機関および民間企業の研究者で、機関を横断する研究共同体が時限付きで形成され、研究を進めます。研究者個人の提案を尊重するボトムアップ型の科学研究費補助金とは対照的なものです。また、この事業は、今後の科学技術イノベーションの創出につながる、社会?産業ニーズに対応した新技術を創出することを目的として、戦略重点科学技術に重点化した分野における目的基礎研究を推進する競争的資金制度として位置付けられています。

 「CREST」とは、我が国の社会的?経済的ニーズの実現に向けた戦略目標に対して設定され、インパクトの大きなイノベーションシーズを創出するためのチーム型研究です。本事業のうち、全体の規模としては最大で、1つの領域に強力な研究群団が並び立ち、国の政策実現に向け研究を推進します。研究費は、年間平均して4千万円程度から1億2千万円程度の規模であり、設備費、材料費、旅費、ワークショップやシンポジウムなどの開催費などが対象となり、研究期間は概ね5年以内となります。

 「さきがけ」とは、国の戦略目標に基づいて未来のイノベーションの芽を育む個人型研究です。研究総括の下、年2回程度の合宿形式の研究報告会(領域会議)などを通じて、同じ研究領域に集まった研究者と交流?触発しながら3年間または5年間研究に取り組みます。研究費は、1課題当たり、3年間の課題で総額平均3,000万円から5,000円万程度、5年間の課題で総額平均5,000万円から1億円程度の規模となっています。

 以下に採択事業の研究概要等をご紹介します。

「CREST」
山田准教授の研究課題及び概要等
研 究 費:研究代表者として総額1億5,000万円
研究期間:平成22年10月1日(金)?平成28年3月31日(木)
研究課題:革新的塗布型材料による有機薄膜太陽電池の構築
研究概要:本研究では、“溶液塗布が可能であり、光照射により低分子有機半導体へと変換可能な光変換型前駆体”を用いて、有機薄膜太陽電池にブレイクスルーをもたらすpn接合ナノ構造を創出します。塗布型太陽電池作製の方法論に新機軸を打ち出し、これまで不可能であった「電荷分離界面の増大」と「キャリア取り出し経路の確保」の両立を実現し、革新的なデバイス作製技術を確立し、次世代太陽電池の飛躍的な発展を目指します。

「さきがけ」
杉浦准教授の研究課題及び概要等
研 究 費:個人研究者として総額1億円
研究期間:5年
研究課題:光合成による高効率エネルギー変換と水の酸化機構の解明
研究概要:植物やラン藻などは、光合成によって非常に高い効率で太陽光エネルギーを化合物の形で貯蔵し、同時に水を酸化して酸素を放出して、地球上の全ての好気的生物の生存を支えています。しかし、光合成のしくみについては不明な点が多く、これを分子レベルで理解することは、環境とエネルギーの問題の解決を考える上でとても重要です。本研究では、光合成による高効率なエネルギー変換と水の酸化のしくみを明らかにすることを目指します。

<研究支援部>