お知らせ

平成22年度連合農学研究科入学式を挙行

平成22年4月12日(月)13時から、足球即时比分_365体育直播¥球探网農学部会議室において、平成22年度足球即时比分_365体育直播¥球探网大学院連合農学研究科入学式を挙行しました。

 最初に、学長?役職員等の紹介があり、次に入学者全員の紹介を行いました。今年度の入学者は21人で、日本人が13人、外国人留学生が8人です。また、日本人のうち4人は社会人であり、留学生は、タイ、インド、インドネシア、ベトナム、フィリピン、中国、バングラデシュ、ラオスの各1人です。

 入学者の紹介に続いて、一井眞比古香川大学長から次のような式辞がありました。
 「21名の新入生諸君、入学おめでとう。足球即时比分_365体育直播¥球探网大学院連合農学研究科の教職員及び在学生は心から君たちを歓迎いたします。
 あなたたちの中には、生命科学や環境科学、地域開発などの分野で研究者をめざす人も多数いるはずです。それぞれの目標に向かって努力を継続し、自分自身で納得できる成果をあげられることを期待しております。また、博士課程に在籍している間に、さまざまな実践と学問を通して、教養豊かで社会から尊敬される社会人に成長されることを強く願っております。
 20世紀は自然克服型の社会をめざし、また消費を推奨するような資源消費型の生活を推し進めてきました。その結果、資源問題、人口問題、環境問題に代表されるような地球規模の大きな課題を背負い込んでいることは、世界の共通認識となっています。したがって、持続可能な社会を構築することが21世紀における人類社会や日本社会に求められております。このような認識のもとに、日本の科学者コミュニティーを代表する日本学術会議では10?20年先の学術及び学術推進政策に対する見解を「日本の展望?学術からの提言2010」として4月5日の総会で取りまとめました。その提言のなかでは、「21世紀の世界において学術研究が立ち向かう課題」として4つをあげています。それらは「人類の生存基盤の再構築」、「人間と人間の関係の再構築」、「人間と科学技術の関係の再構築」、「知の再構築」の4課題であります。
 最後の「知の再構築」は大学における人材養成の在り方に関するものであり、学術や科学?技術の将来の方向性を示すものではありません。最初の3つの課題である人類の生存基盤の再構築、人間と人間の関係の再構築、人間と科学技術の関係の再構築からの課題を、私なりにより具体的に言い換えますと次のようになります。1つ目は、地球環境問題であり、2つ目は個人の安全システムの構築、3つ目はアジア、4つ目は個人と国家、5つ目は科学技術の進展に伴うリスク管理、6つ目は急激に進展している情報技術と社会制度に関するものであります。
 また、「日本の展望?学術からの提言2010」では、21世紀における生命科学の課題と展望について、生命現象を解明するための科学と同時に社会の福祉に貢献する科学の必要性を強調しております。その具体的課題として、人間と他の生物との共存や多様性に関わる研究や食料の安全や確保に関わる研究の重要性をあげています。
 これまでに述べてきたような分野や領域における学術研究への取組が、人類社会の発展のみならず、地球の明るい未来のために貢献すると考えられます。ただ、21世紀の人類社会の課題解決のためには複数の科学分野の一体的取組が不可欠であり、さらに学術と社会との協調関係が必要であることを忘れてはならないと思います。
 これからの学術研究の重要な課題になるであろう地球環境問題をはじめ、個人の安全システムやアジア、個人と国家、リスク管理などの課題に、研究や技術という立場だけでなく、行政などの立場から、あなたたちは関わって行くことになると思われます。新しい視点を持って課題へ挑戦し、あなたたち自身が日本における知的活動?創造力の担い手になることをめざしてもらいたいと思います。私たちはあなたたちのチャレンジに大いに期待しております。
 あなたたちが取り組もうとする研究分野は、世界の最先端であり、極めて競争の激しい分野であると思います。しかし、現在の科学の分野はかつてに比べれば比較にならないくらい細分化されており、農学という領域から見ても、これからあなたたちが取り組もうとする研究分野は、極めて限られた狭いものであります。したがって、社会が抱えている課題を解決するためには、あなたたちが取り組もうとしている分野だけで具体的な解決策を提案することはほとんど不可能であります。言い換えれば、先ほど申し上げたように、複数の科学分野の総合的取組が不可欠であり、また多くの場合には社会科学分野との連携や協調がなければ社会の課題解決へ結びつけることはできないと言っても過言ではありません。そのためにも、日常的に広い視野を持つように努力することを強く希望します。
 あなたたちは最先端の研究課題にこれから取り組んでいくことと思います。それは、ライフサイエンスや環境、地域開発の分野であったりするでしょう。大学院においては、最先端の課題にあなたたち自身の力で取り組むことが重要でありますが、常に考えてほしいのはあなたたちが取り組んでいる研究課題の位置付けであります。自分の研究課題が、例えば生命科学の中でどのような役割を果たしているのか、また環境科学の中でどのような役割を果たしているのか、自然科学全体に対してどのような影響を与えることができるのか、さらには人類の幸せのためにどのように役立とうとしているのかを常に考えてください。それも自分ひとりだけではなく、周りの仲間とディスカッションすることが大切であります。そのような日常的活動があなたたちの研究の幅を広げ、視野を広げ、あなたたち自身の将来の発展可能性を大きくすることにつながることは間違いありません。
 また、最先端の研究課題に取り組み、そこで得られる知識や研究成果に満足してはいけません。君たちの将来にとってもっとも大切なのは、最先端の研究に関する知識ではなく、研究に取り組んでいる過程で見つかる新たな課題の発見であり、その課題への解析であり、研究成果を取りまとめ、公表する過程で養われるさまざまな能力であります。それらは探求力や解析力、企画力、表現力などと言われるものであります。私は、最先端の研究課題はそれらの能力をみがき、修得するための「場」であると考えています。
 あなたたちが連合大学院における研究生活を通して、豊かな教養と高度な専門知識を備えた研究者や高度な技術者だけでなく、社会のあらゆる分野で活躍できる有為な人材に育ってくれることを願って式辞といたします。」

 これに応えて、入学者代表として、生物資源利用学専攻の金子啓祐さんから次のような宣誓あいさつがありました。
「桜は満開になり、新たな命が芽吹く今日、私たちは希望の一歩を踏み出そうとしています。本日は、私たち新入生のために入学式を挙行していただき、新入生一同厚く御礼申し上げます。
 現在、我々を取り巻く自然や社会環境は劇的に変化しています。私たちが志す農学は食料危機や環境保全、資源開発など、直面している問題を解決し、健全な社会の営みに貢献できる学問です。一方で、昨今、我々研究者に向けられる視線は強くなっており、その真価が問われています。社会的責任を果たすべく、還元できるように日々研究に勤しむ次第です。しかし、春の種を下さずんば、秋の実いかに穫ん。一見の判断では有用性の低い研究も、積み重ねることで将来重要になることも事実です。そのため、流行に流されず、地道に己の信じた道を突き詰める所存です。
 在学中は連合農学研究科生として恥じぬよう自ら人格の陶冶に努め、社会の期待に沿うことを誓います。」
 式典終了後に記念撮影、引き続きオリエンテーションを行い、連合農学研究科の概要説明等がありました。
 オリエンテーション終了後、21人の入学生は、それぞれの配属大学へと分かれていきました。

<連合農学研究科>