お知らせ

平成23年学長年頭あいさつ.

平成23年1月4日(火)南加記念ホールにおいて、柳澤康信学長が、教職員を対象として年頭のあいさつを行いました。

挨拶は以下のとおり

皆さん、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 今日は、パワーポイントを使って挨拶することにします。
 その前に、年末に南海放送がとってくれたアンケートについてお話ししておきます。足球即时比分_365体育直播¥球探网のイメージと足球即时比分_365体育直播¥球探网の学生のイメージに関する5択のアンケートで、県内の800人余りが回答してくれました。足球即时比分_365体育直播¥球探网のイメージで一番多かったのは、「落ち着いたイメージ」でした。足球即时比分_365体育直播¥球探网学生のイメージでは「真面目なイメージ」。この結果は皆さんの印象と合っているでしょうか。
 これからパワーポイントを使ってお話ししますが、スライドを作り始めるとだんだん数が増えてきて、いまお手元にプリントが配られていますが、結局28枚になりました。たぶん35分ぐらいの話になるでしょう。
 今日お話する内容は、(1)平成22年度を振り返って、(2)足球即时比分_365体育直播¥球探网の今後の方向性と課題、(3)平成23年度の重点課題の3点です。
 

 block_9366_01_mまず、「(1)平成22年度を振り返って」ですが、簡単に3つのことについて述べたいと思います。まず、我々の大きな関心である来年度の大学予算についてですが、昨年6月ぐらいから国立大学協会(国大協)を中心にいろんな緊急声明を出しました。私はいま国大協の理事をやっていることもあって、東京に何回も出張しました。23年度の大学予算は、結果的にはかなり良かったと言っていいと思います。鈴木文部科学副大臣が国大協で説明してくれたのですが、パブリックコメントの効果はあったようです。ご存知かと思いますが、政策コンテストで寄せられたパブリックコメント36万件のうち、文部科学省関係がじつに全体の8割で28万件、そのうち大学関係が16万件。全体の5割弱が高等教育?大学に関するものでした。菅総理大臣が最終的に科研費を633億増やしましたが、パブリックコメントが功を奏したようです。ただし、保証されているのは平成23年度だけで、それ以降についてはわからない。国大協では、国立大学の機能強化に関する提言を行うということで、ワーキンググループを立ち上げ半年以内に国民にアピールする文章を取りまとめる予定になっています。
 平成23年度の予算総額は1兆1528億円。前年度比で言うと58億円、0.5%のマイナスです。しかし、国立大学教育研究特別整備費という新規事項で58億円が措置されており、実質的には国立大学法人の基盤的経費の削減に歯止めがかかったと言えます。足球即时比分_365体育直播¥球探网の関係では、運営費交付金は附属病院を有する法人ということで大学改革促進係数が前年度比マイナス1.3%かかっています。特別経費に関しては、すでに補正予算で措置されたものと今回新たに措置されたものがほぼ満額査定になっており、良い成績だと言ってよいでしょう。
 2番目は第2期の1年目の中間総括です。まだ総括するタイミングではないですが、全学的な組織面では4つの機構(教育関係、研究関係、社会連携関係、国際連携関係)の形がかなり整ってきたと言えます。それに関連した学長裁量経費による学内競争的資金に関する枠組みも変更しました。学部という縦糸に対する機構という横糸といった意味での組織整備がかなり進んで来たという印象をもっています。
 3番目は国立大学法人評価に関することです。これに関しては、第1期の最終評価が12月に届きました。細かいところは省略しますが、暫定評価の結果が運営費交付金にいくらか反映されることになりましたけれども、その総合点に影響する変更点のみを述べたいと思います。「中期目標の達成状況」の「社会との連携、国際交流等に関する目標」のところは、暫定評価では「概ね良好である」でしたが、一段階上がって「達成状況が良好である」になりました。それから、「現況分析」の医学系研究科で、「進路?就職の状況」が「期待される水準を下回る」になっていたものが、「期待される水準にある」と、これもワンランクアップしました。

block_35993_01_m それでは次の「(2)足球即时比分_365体育直播¥球探网の今後の方向性と課題」に移ります。ここに書きましたように、我が国の政策が非常に近視眼的になって、一貫性が欠如しているという状況にあります。そういう時代に、足球即时比分_365体育直播¥球探网は地域の中核大学として、長期的展望に立って全国モデルとなる仕組みを構築する必要性があり、その覚悟を決めるべきだと思います。そのための基盤的方策に関して、2つのことを申し上げたいと思います。ひとつ目は「諸施策?諸制度の総合的運用」。これは学内的な問題です。ふたつ目は「連携及び拠点化?ネットワーク化」。こちらは対外的な事柄です。このふたつがこれから大事になるのではないかと思います。これらについて少し説明します。
 「諸施策?諸制度の総合的運用」というのは、少し分かりにくい表現かもしれません。法人化後、国立大学は国主導または大学独自で、いろんな施策や制度を導入しました。大枠的なものとしては、法人評価、認証評価などがありますし、個別的なものとしては教員の個人評価、評価に基づく処遇、FDの義務化などたくさんあります。ところが、これらは必ずしも統一的な文脈の中で導入されたわけではない。さきほど近視眼的になっていると言いましたが、その影響もあって、断片化された中でいろいろな制度が導入されてきました。これからは、導入された制度の相互の関連性の理解と総合化が必要であると思います。
 その例を2つほど挙げたいと思います。ひとつは教員の個人評価です。足球即时比分_365体育直播¥球探网では教員の「総合的業績評価」と言っていますが、それと能力開発の関係はどうなっているか。これについて日頃あまり深く考えないで、別々のものであると思われている節があります。評価には2種類あります。ひとつは形成的評価(formative evaluation)。ここに書いてあるように、「単元の途中途中で目標に対する達成状況などを把握し、それを指導の軌道修正や個々の児童生徒の指導の指針として活用する評価」ということです。すなわち、形成的評価は指導と支援の両側面をもっています。もう一方の、総括的評価(summative evaluation)は最終的な達成を総括する評価ということで、通知表の評点のようなものを指します。我々が、個人評価と言っているものはこの総括的評価になります。しかし、実際には多くの場合、支援と評価は一体的にやられているし、そうあるべきです。支援のひとつの形態である能力開発は、本来、評価と対立的な関係ではない。こういう理解が大事です。すなわち、個人を評価するからには、それに見合うだけの能力開発あるいは支援の体制を整えるべきであるというのが私の主張です。
 ふたつ目の例ですが、足球即时比分_365体育直播¥球探网は数年前から科研費応募書類のブラッシュアップを行なっています。これはどんな目的で導入したのか。1番目として挙げられるのが、本学の科研費の採択件数、獲得額を増加させるため、2番目は、各教員の研究活動を活性化させるための支援として。その当時の導入目的は1番目でした。実際、申請した人にはいくらかのインセンティブを付与したということもありました。一方、経験を積んだ人が若い人の申請書類を直してあげるという行為は、若い人にとって能力開発になっています。これが目的であれば2番目ということになります。両者は相互に矛盾しませんが、そこには方向性の違いがあります。2番目は研究面での能力開発という側面をもっていますが、今後こちらを強調する必要があると考えています。
 今後の方向性のふたつ目は「連携及び拠点化?ネットワーク化」です。平成16年に法人化して大学経営の自律性が高まったときに、各大学で強く意識されたのが大学間の競争です。いかに中四国の他の国立大学との競争に勝つか、また他の同規模大学から頭ひとつ抜きん出るかが問題とされました。しかし、第2期は「ひとり勝ち」を目指す時期ではなくなっています。むしろ、「競争から連携?協調へ」の時代に入ってきており、競争といっても「個別競争から地域間競争?システム間競争へ」シフトしてきています。実際、大学の活動として連携がかなめとなるものが増えています。大学間連携(教育?研究?FD/SD)、地域連携、産官学連携、国際連携、高大連携など挙げればきりがないほどです。足球即时比分_365体育直播¥球探网がこれから目指すべきは、地域の中核大学として様々な分野で連携ネットワーク形成の担い手となり存在価値を高めること。このことは、これから非常に重要になると思っています。

 block_35992_01_mそれでは、次に「(3)平成23年度の重点課題」に移ります。平成23年度と書いていますが、実際には、平成23年度プラスアルファですね。一年だけで実現できるものではありません。
 「平成23年度の重点課題」を全部で11挙げますが、教育に関しては3つです。1番目は「1. 全学DP作成とカリキュラム改訂」。DP(ディプロマポリシー)とは、皆さんご存知だと思いますけども、人材育成目標のことです。2番目は「学習成果アセスメント手法の確立」、3番目は「海外教育プログラムの整備」。これらを順番に見ていきたいと思います。
 ここに示した図は、共通教育を含む学士課程の模式図ですが、共通教育では学士基礎力を養い、各学部では共通教育、専門教育を合わせて各学部?学科で定めたDPに示された資質?能力を身につけさせるということになっています。一方、全学共通のDPについては試案的なものはつくってありますが、正式にはまだ策定していません。そろそろ、これを考える時期に来ているように思います。
 その時に、何を考えて作るのか。全学共通ということで、なかなか難しい面がありますが、教育目標?人材育成目標、それから学力観の転換というのがこれから問題になってくると思います。そのヒントとなる例を示します。最近読んだ本の中に、「社会力」(social competence)という言葉がありました。「人と人がつながり、社会をつくる力」という定義ですが、コミュニケーション能力、協調性、リーダーシップなど社会的能力を総合化した概念です。それからもうひとつは学力観の問題です。従来、日本で学力と言っているものはテスト学力ですね。テストで良い成績をとるための学力というテスト学力観から脱却する必要があります。例えば、最近話題になっているPISA型学力では、学力を「様々な状況で、学んだ知識や技能を新たに組み替え、創造的に運用する能力」と定義しています。すなわち、「学んだ知識や技術を活用する能力」です。初等中等教育だけではなくて高等教育の場においても、このような概念を組み込んだDPを作成する必要があると思います。
 次に、教育の2番目の「2. 学習成果アセスメント手法の確立」です。今日、教育の質保証は避けて通れません。そのためには、学習成果アセスメント手法を確立すること、とくに学習段階ごとのプロセス評価が必要です。そのための有効な手法のひとつとしてラーニング?ポートフォリオの作成があります。ラーニング?ポートフォリオは教員養成系でいち早く採用されていますが、日本ではどうしてもガチガチのものを作る傾向があります。すなわち、管理教育に陥る危険性があります。そこをどううまく工夫して設計するかが鍵になります。
 教育に関する3番目は「3. 海外教育プログラムの整備」です。第2期中期目標にも明記してありますが、学生が海外で学習する機会を増やすために、学内の国際連携促進事業などを充実させて、海外教育プログラムを整備することが必要です。実は、足球即时比分_365体育直播¥球探网ですでに実施されている例は結構あります。まだプログラムとして体系化されていないという問題はありますが、例えば、インドネシアでは遅澤教授の木造調査船チンタラウト号による航海実習があります。それから、学術交流協定を結んでいるガジャマダ大学には学生が農村に入って体験学習をするというプログラムがありますが、そのプログラムに愛媛大の学生が参加するという取り組みをこの2年ほどやっています。教育学部ではフィリピン大学で教育人材育成のためのインターンシップ、工学部では中国の日系企業でのインターンシップをやっています。足球即时比分_365体育直播¥球探网では海外日本語教育プログラムも実施しています。このように、洗っていけばすでにかなりの事例があります。こういうものを体系化し、メニューを増やしていき、どの学部の学生も気軽に参加できるような仕組みを作る必要があると思っています。このような海外教育プログラムの実施を通じて、中期目標に掲げている「世界で通用する人材の育成」につながっていけば良いと考えています。

 次に研究面では、「4. 研究における拠点化?ネットワーク化の推進」を挙げました。足球即时比分_365体育直播¥球探网は、法人化前から先端的な研究センターをつくって、グローバルCOEに採択されたりして、大きな成果を上げてきました。今後、グローバルCOEの後をどうするのか。これが課題です。これは地方大学にとってはかなり悩ましい問題で、次から次に新規の分野で世界的な拠点を形成するのは残念ながら望み薄です。そういう意味では、すでに確立した世界的拠点を次にどう展開していくかが大きなテーマになります。ここではひとつの例を上げておきたいと思います。
 これはまだ構想段階で実現すると決まったものではないのですが、地球深部ダイナミクス研究センター(GRC)では「高圧地球惑星科学コンソーシアム」を計画しています。地球科学分野でグローバルCOE拠点になっている4大学を中心にコンソーシアムを組み、Spring-8、J-PARKなども活用して、全国の共同利用拠点化をすすめるものです。ここではコンソーシアムと言っていますが、このようなネットワーク化は是非実現してほしいものです。2年前に開設10年を迎えた沿岸環境科学研究センターなどにおいても、さらにその分野の研究を発展させるための方策として、拠点化?ネットワーク化を推進してもらいたいと思います。

 それから次に、社会貢献ですが、ここにおいても、「5. 地域における拠点化?ネットワーク化の推進」を掲げました。これまで「地域から信頼される大学になる」という言い方をしていましたが、一歩踏み込んで「大学は地域の発展に責任を持つ」という分野が明らかに存在します。
 その例としてここにいくつか並べてあります。南予水産研究センターは平成20年に設置され、3年経ちました。これまで順調に進んでいますが、さらに発展させて愛南町だけを対象とするのではない「宇和海水産構想」を立ち上げています。それの対象地域は4市2町で、南は高知県の宿毛市まで入っています。この構想は、地域の産官学連携イノベーションを目指すものであり、従来と違うのは基礎研究?応用研究、実用化研究、それから生産?加工?流通?販売までトータルとして視野に入れていることです。
 防災情報研究センターでは、愛媛県内の産官学民のネットワークを作り、センターがそのハブになっています。地域防災力を向上させるためには、センターの活動が非常に重要になってきます。
 教員養成や医療人養成に関しては従来から大学が責任をもつ立場にありました。教員養成に関しては、教育学部や今度新しく立ち上げた教職総合センターが中核になって、教員養成に取り組まなければなりません。医療に関しては、特に地域医療に関して責任をもつ必要があります。また、農学部の知的植物工場、これは経産省と農林水産省の両方の支援を受けて、来年度から本格的に稼働します。これらは地域に単に貢献するというよりは、むしろ地域に責任をもつという面が強いのですが、その時に拠点化?ネットワーク化を推進していくことが大事になります。

 次に国際連携ですが、これについては表現を慎ましやかに、「6. 国際化推進化のための基盤整備」としました。今さら何を言っているのだと思われるかもしれません。確かに、足球即时比分_365体育直播¥球探网はここ2、3年、華々しいイベントをいくつか実施してきました。例えば、インドネシアで愛媛?スラウェシ産官学の国際シンポジウムを開催したり、南スラウェシ「州政府」と学術交流協定を結んだりと、他の大学であまりやっていないことも実施してきました。しかし実は、足球即时比分_365体育直播¥球探网の国際連携に関する基盤整備は非常に遅れています。これは、去年5月に文科省から来てくれた細川教授が、色々調べて指摘してくれた事柄です。基盤整備としては、国際業務体制の基盤整備、国際的なキャンパス環境の創出、留学生受け入れシステムの国際標準化、外国語によるホームページ作成などが挙げられます。これらをまず整えないことには、多くの留学生を受け入れることも、学生を多く海外に送り出すこともできません。いま、国際連携については基盤整備が重要であると強調しておきたいと思います。

 それから次に、人材育成マネジメントに関してふたつ挙げました。「7. 教職員能力開発における拠点化?ネットワーク化の推進」と、理念的な話ですが「8. FDからAD(アカデミック?デベロップメント)」です。
 皆さんご存知のように、SPODは平成20年度の戦略的大学連携事業に採択されて、足球即时比分_365体育直播¥球探网が代表校になりました。文科省の担当によれば、戦略的大学連携プログラムの多くはあまり上手く行かなかったようですが、SPODは例外的に上手く行ったという評価をもらっています。12月末に東京で開催したSPOD主催のフォーラムに、東京周辺の有力大学の職員、文科省の職員も参加してくれたそうで、地方でこういう取り組みをやっているのかとびっくりされたようです。
 特にSDプログラムは日本ではまだ標準化されていないものですが、SPODでは (1) 職員研修プログラム、 (2) スタッフ?ポートフォリオ(職員業績記録)、(3) 職員キャリアアップ?サポートの3つの柱でプログラムを構成しています。そのうち特にユニークなのは、スタッフ?ポートフォリオです。今のところ、足球即时比分_365体育直播¥球探网では課長以上の管理職にはすでに作ってもらっており、次年度から副課長以下にも徐々に広げていく予定になっています。これを作成すること自体が有効な能力開発になると聞いています。このことをすべての職員に認識してもらいたいと思います。
 次の「FDからADへ」についてです。ご存知のように、足球即时比分_365体育直播¥球探网はFDに関してミクロ?レベル、ミドル?レベル、マクロ?レベルの独自の定義を行い、それを教育改革につなげてきたという実績があります。これまで、足球即时比分_365体育直播¥球探网のFDは教育に関することだけでしたが、一番広い意味においてFDは教員の業務全般に関わる能力開発のことであり、これからそのような方向性が必要ではないかと思います。
 それで、ここではAD(アカデミック?デべロップメント)という概念を提唱したいと思います。イギリスなどではすでにこういう形で使われているようですけども、ADというのは、従来の狭い意味でのFDであるED(エデュケーショナル?デべロップメント)と研究に関するRD(リサーチ?デべロップメント)を含む概念です。RDのミクロ?レベルでは、例えば、外部資金獲得のための支援とか、スタートアップ支援とか、論文作成支援とかが含まれます。先ほど言った科研費申請書のブラッシュアップなどもここに入ります。分野横断的な共同研究の企画、研究グループの組織化、研究拠点形成、あるいは組織の現状診断といったものはミドルからマクロ?レベルにあたるでしょう。
 足球即时比分_365体育直播¥球探网では、教員の教育活動?研究活動、社会貢、管理運営など、業務全般に渡る能力開発を視野に入れた支援体制を構築することがこれからの方向性です。そのひとつの取り組みとして、学術研究に関する機構の改組が挙げられます。従来、先端研究推進支援機構という名称になっていましたが、それを先端研究?学術推進機構に変更しました。その中に2つの区分があり、「先端研究推進会議」に先端的な研究センター群を配置し、一方「学術研究会議」には、研究に関する支援や能力開発に関わる組織を置くことにしました。「学術研究会議」には新たに「学術企画室」を設置し、そこにリサーチ?ファシリテーターとかリサーチ?アドバイザー、すなわち学内の研究資源をコーディネートする「目利き」を配置する予定です。それから、 総合科学研究支援センター(INCS)はその使命として研究を支援するという役割ですが、従来、先端研究センターと同列になっており、非常におさまりが悪い状態でした。それを「学術研究会議」に移す予定にしています。

 次は、教育研究組織の改編に関して2つ挙げています。まず、「9. 独立研究科の設置」です。沿岸環境研究センターの武岡教授を座長としたワーキンググループで以前から検討してもらっていますが、平成24年度の設置に向けて準備を進めていきたいと思っています。
 「10. 文系教育研究組織の改編」はかなり大きな事項です。昨年の新年の「学長あいさつ」で、「法文学部の学内2学部制を発展的解消したい」と言いました。すこし説明不足でしたが、発展的解消とは独立した2学部にするということです。文系教育研究組織と言ったときには教育学部も含まれます。これから教員養成を大学全体としてどうしていくかということが問われます。法律も変わり、ひとりの学生が免許を取るにはこれまで以上の手間暇がかかります。そういう状況の中で足球即时比分_365体育直播¥球探网としてどう対応するのか、このことも含めて昨年12月に設置した「文系組織改編検討委員会」で検討してもらう予定にしています。

 経営財務については、「11. 財政の安定化と自己収入の増加」が課題です。今、愛媛大への支援者を増やして、寄付金などの自己資金を増加させるということで、仮称として「足球即时比分_365体育直播¥球探网カード」というカード方式の仕組みを検討しています。それから、附属病院の経営状態は大学全体の財務に大きく影響しますが、今のところ順調に推移しています。横山病院長がいろんなアイディアを出して、積極策を実施しているので、長期的にもうまくいくものと期待しています。

.
 最後ですが、私が学長に就任した時にも強調しましたが、「組織力を高める」ことが足球即时比分_365体育直播¥球探网にとってこれからの重要課題です。ここではそれと関連して「社会力」という言葉を掲げています。門脇厚司さんは「社会力とは、様々な人と良い関係を作ることができ、作りあげた関係を維持しながら、自分が身につけた知識や習得した技術などを、自分が属している社会のそこここで、誰かのために、あるいは何かのために役立てようと、自ら進んで発揮し活用する資質能力のこと。」と定義しています。その総体が組織力になるのだろうと思います。
 それからもうひとつ、経済学で「ソーシャル?キャピタル」論と言うのがあります。パットナムという人が言っていることには、うまく運営されている社会(組織)の特徴は、「人的ネットワーク」、すなわち日頃からよく人が交流していること、お互いに「信頼感」があること、それから「互酬性の規範」があることです。「互酬性の規範」というのは、相手から何かいいことをしてもらったら、後にお返しするのがルールになっていることです。このルールが確立していて、裏切りが起こらないという状況です。これらの要素がすべて満たされていれば組織はうまく行くと考えられています。足球即时比分_365体育直播¥球探网は、こういった考えも取り込んで、組織として力のあるようにしていきたいと思っています。
 新年の挨拶として少し硬い内容でしたが、私の話をこれで終わります。今年もみなさんにとって良い年でありますように。