国や文化の枠を超え、世界各国で歴史的建造物などの文化遺産の保護?保存活動を行っているワールド?モニュメント財団(本部:ニューヨーク、設立:1965年)が、平成24年10月4日(木)、世界のモダニズム建築の修復?保存活動の最たる例として、愛媛県にある「八幡浜市立日土小学校」の修復?保存?再生に大きな役割を果たした、建築家コンソーシアム(教育学部曲田教授ほか5人と八幡浜市)に「2012年 ワールド?モニュメント財団/ノール モダニズム賞」を選んだと発表しました。
同賞は、モダニズム建築の存在を危うくする課題に焦点を当て、その克服と保存?再生に貢献した建築?設計関係者の功績を表するという、世界でも例をみない、モダニズム建築の保存?継承を目的としたプログラムです。2006年開始以来隔年で発表されており、今回で世界3例目となりますが、申請が20カ国から寄せられ、その数は40以上と今までで最多となりました。
過去2回の受賞対象となった建築は、地理的には共に欧州に位置し、且つ竣工年代も1930年前後であり、時期的には第二次世界大戦前のモダニズム建築です。この点、今回の受賞対象となった日土小学校は木造建築であるとともに、大戦後のモダニズム建築として初めての受賞対象建築となります。
また、日々使われている小学校という公共建築でもある日土小学校の修復?保存?再生の実例は、国際的にも認知されたということも相まって、日本を含め世界のモダニズム建築のこれからの保護?保全に多くの示唆を与えるものと考えられます。
同賞の審査選考は、米国ニューヨーク近代美術館(MoMA)のバリー?バーグドール(フィリップ?ジョンソン建築?デザイン主席学芸員)を審査委員長とする、独立した審査委員会により行われ、全会一致で決まりました。
なお、授賞式は平成24年11月13日(火) に、ニューヨーク近代美術館にて執り行われます。
日土小学校の選考に当たっては、
1)その建築設計の独創性と革新性
2)竣工(1956-58年)以来他の模範となるような形で保護?保存され、日本のモダニズム建築史に刻み込まれてきたこと
3)そして1999年頃からの保存活動が、2004年の台風被害を機に取り壊しの機運が高まるなど幾多の困難を乗り越え、地域社会と常に向き合い、共に課題を解決し、そして価値を再認識し、その修復?保存?再生に至ったこと
などが評価され、日土小学校の例は、世界のモダニズム建築の、修復?保存プロジェクトの完璧な模範と言える、と評されました。
<教育学部>