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HISTORY ?理工学研究科物質生命工学専攻 定岡芳彦教授?

 平成24年3月末退職の理工学研究科物質生命工学専攻 定岡芳彦教授から大学での思い出を寄せていただきました。

お世話になって、今

 block_43895_01_m縁あって足球即时比分_365体育直播¥球探网工学部工業化学科に昭和40年入学し、平成24年3月定年を迎えるまで、10ヶ月の文部省派遣長期研究員として欧州に滞在する以外、ずっと足球即时比分_365体育直播¥球探网に勤めて参りました。あしかけ47年です。
 入学時は、工学部は、6学科、約250名程度の学部定員で修士課程は設置されていませんでした。研究室は、教授、助教授、助手、技官2名で構成され、卒論学生定員は10名です。それ以降、修士課程の設置、留年生問題、教員?技術職員の定員削減、博士課程の設置、学生定員確保などにより、学生対教員の割合は増大し続けております。この間、体験型教育体制の弱体化が進んできたことは否定できません。教員が体験したことがない学問領域を担当しなければならない状況になってきたことも否定できません。
 学生時代を振り返ると、卒論は、漠然とした課題を与えられ、具体的なプランは自ら提案しなければなりませんでした。学会発表の機会を得ましたが、旅費、滞在費、登録費は、アルバイトで捻出することは当たり前でした。
 産業貢献型人材の育成を目的とする工学部では、企業との連携は有効です。産業界から大学教員への採用が増えていることは、この考えを指示しております。逆に考えると、今の大学教員には、産業界のニーズに対応しうる人材養成は期待できない、との判断によるのかもしれません。
 「科学者は自然法則を見出すこと、技術者は自然法則を利用すること」が目的とすれば、工学部は後者です。材料系工学における研究は、個人より組織でおこなわなければ、実効性は期待できないと感じています。また、技術者は科学者でなければなりません。組織の基本は、それぞれの[分]をわきまえた, give and take、です。大学教授は、学生への教育だけでなく、若手教員の育成も重要な業務と思っています。資金確保も必要でしょう。小講座制の否定は、徒弟制度の否定です。しかしながら、工学部における体験型教育とは?徒弟制度にほかありません。問題は、構成員の認識です。運用次第では、非常に優れた制度であります。小講座制—大講座制—プロジェクト制へと大学における教育?研究体制は移行しつつありますが、このプロジェクト制は、新たな徒弟制とも受け取れます。「プロジェクトを構成している要素はそれぞれ独立しているが、これらの要素の恊働で全く異なる価値が生まれる」を期待しています。

    —分け登る麓の路は多けれど、同じ高嶺の月を見るかなー

 振り返ると、幸運にも、周囲の協力があり周辺の大学には引けを取らない設備環境のなかで過ごすことができました。卒業生もみな頑張っております。公的?外部資金についても、30代から継続して獲得できましたし、研究成果もいくつか実用化されました。まだ、半ばのテーマもありますが、定年は人生にとって意味のある区切りです。微力ではありましたが、できることはしてきたつもりです。教職員自らによる更なる大学の持続的発展を祈念して、筆を置きます。