平成25年3月末退職の農学部生物生産システム学 水谷 房雄 教授から大学での思い出を寄せていただきました。
足球即时比分_365体育直播¥球探网33年を振り返って
昭和54年7月に足球即时比分_365体育直播¥球探网に赴任して、最初に驚いたことがある。地方の大学なので、研究に使える実験圃場はさぞかし広いのだろうと思っていたが、研究室の圃場は猫の額くらいだった。併設されていた附属農業高校も実習圃場を使っていたので、学部の1研究室当たりの圃場が狭いのはやむを得ないことだったのかも知れない。平成6年1月から附属農場の専任教員になった。樽味キャンパスに比べて広い圃場があり、自分たちが使う圃場は基本的には自分たちで管理するという方針で、学生たちと一緒に管理をした。それには、農作業の現実がどのようなものかを学生たちに知ってもらうという教育的な配慮もあった。数年前に、農学部は附属施設の全教員を樽味キャンパスに引き上げるという方針をとった。主たる仕事場は樽味キャンパスになったが、以降もずっと附属農場には兼任教員として関わってきた。
連合大学院の留学生が博士論文作成のため、附属農場を利用した実験をしてくれた。コース博士では、バングラデシュ2人、ケニア2人、ネパール1人、韓国1人、エジプト1人、論文博士では韓国1人、日本4人の博士号を出すことが出来た。
私自身の博士論文の研究として、モモの連作障害の研究をしていた。モモの根には青酸配糖体(prunasin)があって、これが分解するとHCNが出てくる。このHCNが、あとに植えたモモの苗木に生育障害を起こすことが問題であった。植物にはこのHCNを代謝するβ-シアノラニン合成酵素というものがあって、HCNを無毒化している。ちょうど、そのころ、カリフォルニア大学デービス校のYang博士たちのグループが、エチレン生合成の過程で前駆物質のACCが酸化分解されて、エチレンが発生するときにHCNも生成することを発見していた。HCNは植物に有害なので、エチレン生成が活発に生じるときには、おそらくHCNの解毒酵素のβ-シアノラニン合成酵素の活性も上昇するだろうと考えて実験をしたら、その通りだった。そのような関係があって、文部省の在外研究員として、カリフォルニア大学のYang博士の下に9ヶ月留学させてもらうことになった。エチレン生合成に関する実験では、ACC酸化酵素の活性化因子のCO2の濃度を変化させると、ACC酸化酵素の至適pHが変化することを見つけ、Yang博士にエレガントな結果だとほめてもらったのがうれしかった。トロポロン化合物のヒノキチールは、抗菌性のあることで知られていたが、エチレン生成も抑制し、その抑制機構はトロポロン化合物のキレート作用で、ACC酸化酵素に必要な補助因子Fe2+を除去するためであることを明らかにした。
附属農場での学生教育では、学部学生の実習以外に、文部科学省の現代的教育ニーズ取組支援プログラムの「大学間連携によるフィールド教育体系の構築?中国?四国地域の農学系学部をモデルとして?」のうち、『果樹園芸の里フィールド演習』を担当した。毎年夏休みに約1週間、中四国の国公立9大学の農学系学生1回生から4回生30名を集めて、複数の大学の教員が協力して講義、講演、実験、実習、産地見学、農家の人たちとの交流を行うものである。他大学の学生との交流もあって、参加した学生達には大変好評であった。このフィールド演習は文科省のプログラム予算終了後も、各大学が費用持ち出しで、今まで続いてきている。このほか、高大連携の取組SPP(サイエンス?パートナーシップ?プロジェクト)も附属農場で行った。県下の農業高校生が附属農場に来て、大学の実験を体験する試みなのだが、これに参加した生徒がその後農学部に入学し、学内で顔を会わして励ますことが多かった。
課外活動では、足球即时比分_365体育直播¥球探网硬式野球部の顧問教員をしていたが、平成20年に春季リーグで優勝して全日本大学野球選手権大会に行き、東京ドームで東北福祉大学と戦ったのは懐かしい想い出である。
最後に、33年間お世話になった足球即时比分_365体育直播¥球探网の教職員?学生の皆様に心から感謝すると共に、今後の足球即时比分_365体育直播¥球探网の発展を衷心より祈念しております。