農学部の西口正通研究員らのグループが、高温耐性を持つ台木用トマトを接ぎ木することにより、栽培品種用トマトへ高温耐性を付与することに成功しました。
接ぎ木は古くから利用されてきた技術ですが、高温耐性を持つ品種がないトマトに、高温耐性を付与する技術はこれまでありませんでした。この技術は、遺伝子のサイレンシングを利用して高温耐性をもたせる技術と接ぎ木という従来技術を組み合わせ、穂木の栽培トマトに高温耐性を付与させるもので、現在、注目されている新しい育種技術の一つです。
この新技術を利用することにより、夏季の高温下での収量低下が余儀なくされる太陽光利用型植物工場やフレーム温室でのトマト栽培が可能となり、トマトの周年栽培によって果実収量の飛躍的増産に結びつくことが期待されます。
なお、本研究成果は、ベルグアース株式会社および理化学研究所(環境資源科学研究センター)との共同研究で、イギリスで発行されている植物バイオテクノロジ-雑誌『Plant Biotechnology Journal』に掲載されました。
論文情報
掲載誌:Plant Biotechnology Journal (2016) 14, pp. 783–790
題名:Conferring high-temperature tolerance to nontransgenic tomato scions using graft transmission of RNA silencing of the fatty acid desaturase gene
著者:Shinya Nakamura, Kana Hondo, Tomoko Kawara, Yozo Okazaki, Kazuki Saito, Kappei Kobayashi,Takashi Yaeno, Naoto Yamaoka and Masamichi Nishiguchi