本学医学部附属病院第二内科の檜垣實男教授らが、不整脈の一種である心房細動に対する根治手術として、これまで一般的に行われてきた高周波カテーテル焼灼術とは異なる新しい術式「経皮的カテーテル心筋冷凍焼灼術」に成功しました。
今回の手術は、平成26年7月1日に保険収載された日本メドトロニック株式会社の冷却焼灼システムを使用しており、同システムについては、全国で35施設に限って施行が許可されているものです。この術式は、これまでの高周波焼灼術に比べて、同等の効果を有していながら、手術時間を短縮することが可能であるほか、体外から血管を穿刺する本数が少ないなど、患者さんへの負担が軽減するなどのメリットがあります。
今回は、自覚症状の強い、発作性心房細動の治療のために本院に入院された愛媛県在住の男性患者に対して手術を行いました。手術時間は、これまでの2/3程度で、術後の経過も安定しており、3日後には退院されました。
このシステムは、欧米では既に9万人以上に使用され、その効果と安全性が実証されています。今後、日本でも同様の効果が証明され、患者さんへの負担が軽減化された術式として広く普及できれば、より効果的な心房細動治療が可能となることが期待されます。
【参考】
◆経皮的カテーテル心筋冷凍焼灼術とは…
バルーンカテーテルという菅を心臓に通し、風船を膨らましたうえで冷やし、心房細動を引き起こす異常な電気信号が伝わらない様にする新しい術式(平成26年7月1日に保険収載された日本メドトロニックの冷却焼灼システムを使用)。これまでは、異常な電気信号を出す患部付近の心筋を熱で焼灼する手術が主流。
◆心房細動とは…
心房が痙攣状態となり、規則的な心房の活動が心室に伝わらず、心室の収縮が不規則な間隔で起こる状態のこと。心室から送り出される血液の体積が減って、心臓の効率が低下する。また、心房中の血液がよどみ、血栓ができやすくなる。脳梗塞や心筋梗塞の原因となることがある。
<医学部>