民法は、「市民社会の基本法」ともいわれ、法学(法律学)の中でも特に一般の社会生活に密接に関わるものですが、この授業では、その中でも、資本主義経済社会の欠かせない構成要素である「契約」という法制度を取り扱います。契約法の基本的な考え方、契約の総論的ルール、契約の成立と効力、契約の解消?消滅、個別の契約類型の成立要件と効果について、基礎的な概念と判例をもとに、その法(律)関係を学んでいきます。

授業内容

この授業は1~4回生対象で100人以上の学生が受講し、大講義室は授業開始前から熱気にあふれていました。今回は第13回目の講義を取材しました。

学生時代に法律関係の授業を受けたことがない筆者にとっては、授業中は終始先生の説明についていくのに必死でしたが、初学者から上級者まで受講可能な授業となっています。講義資料(レジュメ)ではポイントがわかりやすくまとめられており、重要な点については教員から丁寧な説明がされ、難しい内容については、身近で具体的な例をあげてわかりやすい説明があります。

単に授業を受けるだけではなく、各自の予習?復習が不可欠で、教員からは、学生が効率的に予習できるように、事前に教科書の予習範囲が示され、授業中には重要な箇所を説明する際にマーカーを引いておくよう指示があるので、学生は授業の前後で効率的に学習ができ、知識を定着させることができます。

この授業では、六法の持参が必須で、定期試験では六法の持込が許可されています。法改正が頻繁に行われることから、六法は基本的には毎年買い替えるようです。教室を見渡すと、分厚い六法を持参している学生もいますが、小型の六法を持っている学生のほうが多いようです。 

講義後には、講義に関する質問等を自由に記入する「リアクションペーパー」(wordデータ)を提出します。記述欄には「質問(疑問点等)」「講義の要約?感想」「意見」の他に、「その他?雑談(趣味?ハマっていること?推しなど)」という項目があり、休憩時間に、前回提出されたものの中からピックアップして紹介されます。「ギャグの制作を請け負ったら?」「日本初の女性弁護士で後に裁判官となった女性を描いた連続テレビ小説が始まる!」という法学らしい話題から、「成人式での失敗」というような雑談まで、ホッと和むひとコマもありました。

この授業は私たちの生活とつながりが深く、今後の日常生活においても非常に役立つ授業であるので、法律を学んだことがない人にも、ぜひ受講してほしいと感じました。

教員からのコメント

法学を学ぶというと、法曹(弁護士?検察官?裁判官)になるために学ぶ、六法全書?条文を暗記する、といったように、世間一般において、少し誤解(?)のあるイメージが取り上げられることもあるように思います。明確な定義が定まっているわけではありませんが、法学は「社会を適切に認識し、あらゆる紛争を予防?解決するための規範を考察?批判する学問」分野といえ、決して法曹になるためだけに学修の意義が限定されるわけではなく、また、法学を学ぶ上では、条文を暗記することよりも、条文や概念をもとに、論理的かつ説得的な法「解釈」を行うことが重要となります。

かつて、とある法学者が「法律家」とは「法律的思考にもとづいて意思決定をする者を広くこう呼ぶ」(平井宜雄『債権各論Ⅱ』(弘文堂、1992年)はしがき2頁)と述べていたように、法律系専門職に就く者に限らず、契約や婚姻の場面など、人生のさまざまな進路における経済社会?市民生活の各局面において、法学学修はたいへん有益?有用な意義をもち得ます。

この授業では、そういった視点をもって、財産と家族に関するルールを幅広く規律する「民法」のなかでも、特に「債権各論?契約法」、つまり、「契約」に関わる法規範(ルール)を扱っています。例えば、みなさんの日々の営みに欠かせない売買契約や賃貸借契約など(モノ?カネの交換?利用に関わる各種の契約?取引)も契約法で学ぶ対象です。

受講者には、紛争事例やジャーナル記事を素材として、法的思考力が問われる具体的な場面のイメージを抱いてもらった上で、条文、基本的な概念や定義、さらに、裁判所の判例(裁判例)や学説を交えて、契約法について講義形式で解説しています。ときには、実際に契約実務に携わる専門家(弁護士など)を授業に招いて話を聞く機会なども設けています。

足球即时比分_365体育直播¥球探网法文学部で学んだ学生は、公務員職、製造業、情報通信業、金融?保険業、卸売?小売業、不動産?物品賃貸業?サービス業、教育?学習支援業、進学など、卒業後に多種多様な進路に進みますが、それらどの進路においても、民法?契約法が関わり得ることになりますし、法学に触れることで、人が社会生活を営む上で生じうる紛争の予防?解決について、どのような解決方法があり得るのか、妥当な利害の調整とは何かを考えるための基礎的な知見を広げることもできます。

授業風景をみて、少しでも興味が湧いたと感じた方は、ぜひ、足球即时比分_365体育直播¥球探网の法文学部で法学に、そして、できれば民法に触れてみてください。

学生からのコメント

法文学部 人文社会学科1年生 露口翔大さん

「社会あるところに法あり」という言葉があるように、社会の円滑化を図るためには一定の秩序?法が必要であり、その社会において私的生活を規律する法(私法)の基本的なルール(一般法)が「民法」となります。

例えば、お知り合いがあなたに希少価値のある物を無償で与えるという約束をしたという場合、その行為は民法でいう「贈与契約(549条)」と規定されています。では、そのお知り合いが先述の贈与契約を急遽解除すると言った場合、あなたは法的に如何なる対応?主張をすることが可能でしょうか。

当講義では、民法典における「契約」の部分と、上記のような契約にまつわる紛争事例について学修します。当講義を受講することで、社会システムの根本原理の一つを理解することができ、またそれによって法的視野?思考を数倍拡大することができます。故に当講義の内容は無論高度なものを含み、公務員試験だけでなく法科大学院入学試験や司法試験に対しても当該分野については対応可能なレベルです。しかし、緻密に計算された授業資料や、先生の非常に丁寧かつ高度な解説?議論、生徒の集中力を最大限引き出す効率的な授業構成により、法律に苦手意識をお持ちの方であったとしても十分内容を理解していただけるものと、一受講生として確信をしております。

当学部の特性上、法学以外の学問領域を履修されている方でも履修可能ですので、是非、民法の「契約」の履修をご検討ください。

法文学部人文社会学科 2年生 藤原唯さん

民法の「契約」の分野は、私達の実生活にも深く関わる内容であり、市民生活を営む上で不可欠な知識を得ることが出来ます。また、この授業では各回の内容に関する事例を交えながら学ぶことができるため、単に知識として覚えるだけでなく、実生活と関連付けながら学習することで論理的思考力を養うこともできます。

法律を学ぶ第一歩として、非常に学びやすい授業内容となっているため、法律に興味がある方は是非履修してみてください。

法文学部人文社会学科 2年生 清水優羽さん

この講義では、レジュメをもとに、大事なポイントなどを解説してくださるという講義形式となっています。さらに講義の最後に、その日学んだことのアウトプット問題を解くという時間があります。解説を聞くだけでは、理解が追い付かないことも多く、学ぶ範囲がとても広いため、難しいイメージを持ちがちですが、このアウトプットによって、理解度が深まっていると感じています。