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新任部局長挨拶 ? 応用タンパク質研究施設長 林 秀則 ?

平成26年4月1日から、応用タンパク質研究施設長に就任した林秀則教授から就任のご挨拶をいただきました。

 block_58494_01_Mこの度、足球即时比分_365体育直播¥球探网応用タンパク質研究施設の施設長を拝命しました林秀則です。本施設は平成26年4月1日に設置され、「バイオベンチャー企業等も含む学内外の共同利用施設として、施設の各種分析機器及び放射性同位元素等の総合的管理並びに基礎から応用にわたるタンパク質研究の支援を行うことにより、当該分野における研究の進展に資すること」を目的としています。

 タンパク質は生命に必須の物質であり、多くのタンパク質の働きが組み合わさったものが生命活動であるといえます。タンパク質は簡単に言えば「20種類のアミノ酸がひも状につながったもの」ですが、例えば100個のアミノ酸がつながった場合、20100(約10130、無量大数より遙かに多い)とおりの組合せがあり、実際のタンパク質における50?1000個のアミノ酸のつながりは原理的にほぼ無限大の種類が存在可能です。一方、そのうち現在の地球上の生命が利用しているタンパク質は1016(1京)種類ぐらいと思われ、生命が如何に厳選されたタンパク質を利用しているかが窺えます。しかしタンパク質の性質は一つ一つ違うため、その構造や機能を調べ、生命の仕組みを理解していくことは容易ではありません。
 私のこれまでの研究にも必ずタンパク質が関わってきました。20年以上前には、タンパク質を調べるために実存する生物をそのまま使うか、特定の生物から抽出、精製するしかありませんでした。しかしこの20年の間に、膨大な遺伝情報(DNAの塩基配列)が蓄積され、遺伝子組み換え技術が簡便に利用できるようになったため、タンパク質は「取ってくる」のではなく、「自分で作る」時代となり、解析できるタンパク質の種類と量は飛躍的に増加したと同時に、生命の研究手法も大きく変わり、色々な分野への応用も可能となってきました。このような時代の流れの中、足球即时比分_365体育直播¥球探网では「コムギ胚芽無細胞タンパク質合成技術」を開発、実用化し、この技術を基盤として、先進的なタンパク質研究を推進してきました。
 本施設の前身である「ベンチャービジネスラボラトリー」では本学で開発されたタンパク質合成技術を活用した先進的生命科学研究を「無細胞生命科学工学研究センター」、「プロテオ医学研究センター」、および各学部と共同で進めるともに、バイオベンチャーやバイオ人材の育成に努めてきました。そして平成25年4月に「プロテオサイエンスセンター」が設置され、タンパク質に関する基礎から応用研究を「分子→細胞→個体」の各レベルにおいて進め、ワクチンの作製や難病の診断、治療法の開発を目指した研究体制が整備されたのを機会に、「ベンチャービジネスラボラトリー」における共同利用の機能をさらに拡充して、基礎から応用までのタンパク質研究のための各種分析機器を、より多くの方に、より簡便に利用していただけるよう、本施設が設置されることになりました。
 生命を対象とする多くの研究者にとって、対象とするタンパク質は、「マイペット」ならぬ「マイプロテイン」とも言える、とても愛着のあるものです。その特性を解き明かす手段は多数あります。さらに近年では「タンパク質の翻訳後修飾」、「タンパク質―タンパク質相互作用」などの研究手法も多くの改良が加えられ、さらには多数のタンパク質について網羅的に解析することも可能になっています。タンパク質は生命活動そのものである一方で、その複雑さゆえに構造や機能の解析が困難なことも少なくありません。本施設にある機器がすべての解析に対応できるとは限りませんが、施設の利用によって測定ノウハウや関連情報といった機器よりも大切な人的資源に繋がることもあるかと思います。これはメーカーなどに測定を外注するのとは大きく異なる点です。
 今後、学内、学外を問わず、より多くの方に、より簡便に、またより充実した解析ができるように施設の体制を整えたいと思っています。研究途上で興味あるタンパク質に遭遇したときは、ぜひ本施設に設置された機器をご利用いただき、利用された方の斬新なアイデアで生命の新たな扉が開かれることを願っています。