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科学イノベーション挑戦講座受講生が最終成果報告会を行いました【2月14日(土)】

 平成27年2月14日(土)、科学イノベーション挑戦講座受講生が最終成果報告会を行いました。科学イノベーション挑戦講座は、科学技術振興機構次世代科学者育成プログラムメニューB採択事業として、昨年度から実施されています。本年度は、昨年度から参加している5人の初年度受講生に加えて、新たに9人の受講生を迎え、総勢15人の受講生が先進的な科学研究に従事しています。
 今回、受講生11人が、8月から共同研究してきたX線、発酵、腐敗の3つの研究について発表を行いました。受講生は、本学教育学部理科教育講座教員11人、学生(教育学部?工学部?教育学研究科)50人、中学校教員および保護者10人の合わせて約70人を前に、研究成果を発表しました。3年生の5人は、本実施を持って講座を卒業し、高校に進学します。

共同研究のそれぞれについての詳細は以下のとおりです。

〔X線の研究〕
 X線の研究は、ラウエ博士がX線が電磁波であることを証明しノーベル賞を受賞してから2014年でちょうど100年目の節目になります。X線そのものは目に見えないため、電磁波の波長を長波長にシフトさせた可視光レーザーをX線の代わりにしました。また、単結晶の代わりに回折格子を使用し回折格子と可視光レーザーから単結晶X線構造解析を説明するモデルを製作しました。モデルによって理解度を深めた後、実際にタウリンの分子構造を単結晶X線構造解析装置を用いて決定しました。

〔発酵の研究〕
 発酵の研究は、生麹を用いてデンプンの糖化について研究し、おいしい甘酒を造ることを目的としました。生麹中にいる麹菌は、デンプンを加水分解する性質をもっています。この反応を糖化と呼びます。そこで、デンプンに生麹と水を加えると、糖化が進行して、デンプンが分解されたデキストリン、マルトース、グルコースになります。この過程は中学校第2学年の消化で学習する「だ液」に含まれるアミラーゼによる作用で、私たち人間がデンプンを消化するのと同じ過程で、麹菌はデンプンを甘酒に変えます。そこで、温度やデンプンを変えて、ヨウ素デンプン反応と糖度測定から、この糖化反応について研究しました。また、甘酒は通常蒸し米を原料にしていますが、蒸し米以外のデンプンからおいしい甘酒を造ることができるか、オートミール、豆乳、サツマイモ、サトイモ、ジャガイモ、かぼちゃ、トウモロコシ、小麦粉、片栗粉を原料として甘酒造りに挑戦しました。その結果、糖度は蒸し米が最も高いが、おいしさは蒸し米よりもサツマイモの方がおいしいことが明らかになりました。おいしいかどうかの測定は科学的な測定よりも、味覚や嗜好が重要であることがわかりました。

〔腐敗の研究〕
 腐敗の研究は、8種類の食品添加物(グリシン、ソルビン酸ウエノ、安息香酸ナトリウムウエノ、デヒドロ酢酸ナトリウムウエノ、CC?50、モノプロンA、ホセンエースNK、アジャスター2)が、どのように制菌性を発揮するのか条件をつけて検討しました。1.「蒸し米にスプレーで添加物を噴霧した場合」、2.「蒸し米に食品添加物を溶かした水溶液を加えた場合」、3.「大腸菌培地に食品添加物を加えた場合(水溶液と寒天培地)」、4.「米を蒸す過程で食品添加物を加えた場合」の食品添加物の有用性について研究しました。その結果、噴霧した場合はデヒドロ酢酸ナトリウムウエノ、水溶液を加えた場合はソルビン酸ウエノ、大腸菌の水溶液はCC?50、寒天培地はソルビン酸ウエノという結果を得ました。蒸す過程で食品添加物を加えた場合は、どの場合も全くカビが生えないという結果になりました。これは条件が整いすぎたためであると考えており、今後の研究が待たれるところです。

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