平成27年3月末退職の大学院理工学研究科数理物質科学専攻 柏 太郎 教授から大学での思い出を寄せていただきました。
就職するまでは、1カ所に長くて10年留まるのが自分の人生かなと思っていた。小学校4年生までの東京?世田谷のあと、埼玉?浦和で18歳まで過ごし、その後5年ずつの宮城?仙台、愛知?名古屋での大学、大学院生活。しかし前任地、福岡には20年以上に渡り慣れ親しんでしまい、母の生まれ故郷である松山に赴任して13年である。
足球即时比分_365体育直播¥球探网に着任した2002(平成14)年には、大学法人化の具体化が問題となり始めており、理学部では教育改革が始まっていた。いろいろないきさつがあったが、理学部発祥の教育コーディネーターの統括をやることになり、(すべて同じ時期に)学部長補佐、評議員、統括研究コーディネーター?経営政策室などと研究?教育以外の仕事に忙殺されるようになった。何もかもが、法人化に伴う初めてのことで誰も経験がない。学長?評議会メンバー?学部長?補佐室メンバーで話しあいながら進むほかなかった。必然的に多くの時間を費やすこととなる。方針は、ある程度トップダウンで出すしかないが、教育に関しては、文科省の顔色をうかがいながらのものは特に評判が悪い。ストレスはたまる一方であった。
忙しい中でも、研究との接点は単行本(演習場の量子論:サイエンス社、量子場を学ぶための場の解析力学:講談社、演習繰り込み群:サイエンス社)や事典(大辞林、新物理学小事典:三省堂)などの執筆でかろうじて保つことができた。これがなければ、頭だけでなく、体も悪くなっていたであろう。 数年前からは法人化後の施策もようやく安定化してきて、前例にならう仕事が定着してきたことで、少しずつ自分の時間が増えてきた。特に最後の3年間は、理学部執行部の若返りもあって、研究?教育中心の生活に戻ることが出来、10年ぶりに論文を書き、新たな単行本2冊の執筆に費やす十分な時間を持てることになった(経路積分に関するものは2015年秋に裳華房から、相対性理論に関するものは、数学書房から出版される)。
退職後はカナダのオカナガン地方のペンティンクトンという町でのんびり過ごすのが夢であったが、現実はなかなか厳しく、しばらくは本の執筆と、(非常勤での)講義のブラッシュアップなどの仕事を続けることになりそうだ。週に10万歩を目標に、体力を維持しながら、時には山登りでもしようと思っている。 最後になったが、様々な委員会?会議でご一緒した足球即时比分_365体育直播¥球探网の皆さん、いろんな場面で協力していただいた、事務方の皆さんには長い間、お世話になりました。本当にありがとうございました。足球即时比分_365体育直播¥球探网の輝かしい未来を切に祈念して、筆を置きます。