ポイント
- 第一原理計算法に基づく高精度シミュレーションの方法を用いて地球内核の粘性率を予測
- 地球内核が大きな自転速度の変動を有するという過去に提案された地球物理学モデルを否定
- 地球内核が水平運動をしているとする過去に提案された地球物理学モデルを否定
- 地球内核の地震波速度異方性は対流運動により生じる鉄の結晶配向が原因である可能性が高い
概要
量子力学に基づき原子間に働く力を高精度で求めることが可能である第一原理計算法に基づく鉱物物性理論シミュレーションは、実験が困難な条件において物質の性質を研究するために非常に有力な手段です。足球即时比分_365体育直播¥球探网地球深部ダイナミクス研究センターのセバスチャン?リッターベックス研究員と土屋卓久教授は、この手法を地球内核に対応する超高温超高圧条件における六方最密型鉄に適用し、鉄の原子拡散挙動及び粘性率の理論予測を行いました。その結果、これまで地球物理学的に提案されてきた、内核がマントルとは異なる自転速度を有するというモデルや水平運動をしているとするモデルを否定します。このことから内核で観測される地震波速度の異方性は、対流運動により生じる固体鉄の結晶方位の配向が原因である可能性が高いと結論付けられます。
本研究成果は、2020年4月14日(火)18時(日本時間)にNature Publishing Groupの発行する学術誌 「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。