大学院理工学研究科 佐藤久子教授、同大学院博士課程1年生 瀧本和誉氏、岩手大学 會澤純雄准教授、横浜国立大学 川村出准教授との共同研究が日本化学会の英文雑誌BCSJの2019年10月号のselected paperに選ばれました。
分子の形の中には右手、左手の鏡像関係を表すキラリティを有するものが、生体界をはじめとして多くあり、それに関する研究が化学における大きな部分を占めています。機能物質の開発研究の一つとして、佐藤久子教授の研究グループは医薬物質をインタカレートした層状複水酸化物(LDH)によるドラッグディリバリー材料への応用を試みています。その例として、LDH層間にフェニルアラニン(アミノ酸分子)を共沈法で取り込む方式の検討をおこなってきました。LDHの表面におけるアミノ酸分子の分子間の相互作用を明らかにすることが、効率的なドラッグディリバリー系の開発には不可欠と考えられており、本研究ではアミノ酸のキラリティに着目した分光法として固体振動円二色性分光法の開発をおこないました。これにより、アミノ酸分子のLDH層間におけるキラル振動構造の詳細を解析することに世界で初めて成功しました。この成果が認められて、この度、日本化学会の英文雑誌であるBCSJのselected paperに選ばれました。
Application of Solid-State Vibrational Circular Dichroism for Intercalation Compounds of Layered Double Hydroxide and Amio Acids: Conformation of an Intercalated Phenylalanine
H.Sato, K.Takimoto, I.Kawamura, S.Aisawa, Bull.Chem.Soc.Jpn
2019,92,1779-1784
BCSJに掲載された論文はこちら
※口絵として以下が掲載されています。
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